新五カ年計画と農業対策 (マレーシア)



 マレーシアは、 経済発展のための指針として数次にわたり5カ年計画を策定し、 

この計画に沿って開発を進めてきたため、 順調に成長を続けてきた。 この結果、 

現在、 同国は、 シンガポール、 インドネシアなどと、 ほかの東南アジア諸国と並

ぶ高い経済成長率を誇っている。



● 第7次五カ年計画を発表


 そのような中、 マレーシア政府は、 第6次五カ年計画が95年に終了したことを 受けて、 今後の基本指針となる2000年までの第7次五カ年計画を発表した。 これ は、 農業を含む産業、 教育および通信など、 社会・経済の全般にわたるものとな っている。  このうち、 農業関連については、 商工業がさらに発展する中で、 農業就労者数 が減少することを見込む一方、 世界貿易機関 (WTO) 体制下で貿易自由化が推し 進められる中、 生産規模の拡大と機械化の推進により、 生産コストをさらに引き 下げ、 農産物の国際競争力を強化することを狙っている。 また、 近年急成長して いる鶏肉および鶏卵生産についても、 同様に規模拡大のための新規投資が必要で あるとしている。  新五カ年計画によると、 政府の農業関連予算は、 75億6千万リンギット (約 3, 300億円)、 民間からの農業分野への投資額も、 168億リンギット (約7, 400億 円) に達するものとされている。

● 農業労働力の対策がキーポイントに


 また、 同計画によると、 同国の農業就労者数は、 95年の140万人から、 2000年 には、 3. 6%減少して、 120万人になると見込まれている。 これは、 かつての日 本の高度経済成長時と同様に、 経済構造の大きな変化により、 若年、 壮年層の労 働力が、 農村部から商工業の中心である都市部へ移動するためである。  マレーシア農業の労働力不足は、 機械化がなかなか進まない状況の中で、 今後、 次第に深刻性を増していく大きな問題の一つである。 この問題に有効に対処しつ つ、 かつ、 安易に外国人労働力に頼らない合理的な生産体制を構築することが求 められている。  なお、 本計画の農業振興に関する基本方針は、 以下の8項目に要約される。 1) 大規模生産の奨励、 2) 輸出競争力の強化、 3) ゴムなどの栽培地域の再編、 統合 4) 機械化および自動化による生産合理化、 5) 農業生産への再投資の振興、 6) 研究、 開発の強化、 7) 農産物の関税の見直し、 8) 農業関係機関の再編
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