家畜伝染病による輸入規制を地域ベースで (米国)





● 国から地域ベースへ変更


 米国農務省・動植物衛生検査局 (AHPIS) は、 4月18日付けの官報で、 口蹄疫 などの家畜伝染病による反すう動物、 豚およびそれらの肉製品の輸入規制を、 こ れまでの国ベースから、 地域ベースへ変更する規則案を発表した。  現行規則では、 輸入規制は国単位で適用するとされており、 例えば、 輸入され る産品が、 輸入禁止の条件となる家畜伝染病の存在しない地域で生産されたもの であっても、 その国のほかの地域に当該伝染病が存在する場合、 その産品は輸入 はできないことになっている。 今回の提案は、 輸入規制の適用範囲を、 地域単位 (貿易圏などの複数の国にまたがるケースを含む) とすることで、 非清浄地域を 有する国の清浄地域からの輸入を可能にするものである。  AHPISは、 対象となる清浄地域の具体的な決定プロセスとして、 1) 「地域」 を 該当家畜伝染病の感染危険度により、 6つのカテゴリーに分類する、 2) これに 当該産品の特性等を考慮して、 対象地域の総合的な危険度を測定する、 3) これ らに基づき、 最終的に輸入の可否を判断する、 と説明している。

● 期待を強める輸出国、 楽観視する米国関係者


 今回の提案は、 変更規則案の背景や関連規則の主な変更点を示したもので、 実 際にどの国のどの地域からの輸入が可能になるか、 などの具体例は示されていな い。 しかし、 現地報道によれば、 南米最大の牛肉輸出国で、 すでに口蹄疫の存在 しない地域を有するとされるアルゼンチンは、 この提案を歓迎しており、 早くも 牛肉の対米輸出実現に期待感を強めているという。  これに対して、 米国の肉牛関係者は、 穀物肥育牛肉が主流である国内消費市場 では、 アルゼンチン産の牧草肥育牛肉は低品質と見なされること、 また、 口蹄疫 問題をクリアすることを条件に、 ウルグアイ・ラウンド合意により設定されたア ルゼンチン産牛肉に対する関税割当枠が2万トンと少ないことなどから、 同国産 牛肉輸出解禁の国内市場への影響を楽観視する意見が多い。  肉牛生産者等の団体である全米肉牛生産者・牛肉協会 (NCBA) のトム・クック 副会長 (政策担当) は、 この問題について、 「米国の市場は、 全世界に対して開 かれるべきであり、 アルゼンチンが口蹄疫に関するわれわれの懸念を払しょくで きるのであれば、 同国産牛肉の輸入を認めなければならない」 と平静に受け止め ている。
元のページに戻る