豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○牛肉の輸出動向



● 低迷が続く対日輸出価格、 輸出数量


 日本向けの牛肉輸出価格の下落傾向が続いている。 輸出価格の指標の一つであ るチルド・グラス・フルセットの輸出価格は、 95年7月以降、 前年同月比でマイ ナスを続けている。 その下げ幅は次第に拡大する傾向を見せており、 96年4月 (速報値) は、 前年比26.0%低下の1ポンド当り128米セント (約300円/kg) と なった。  この大幅な下落の最大の要因は、 日本における豪州産牛肉の購買意欲の減退傾 向によるものとみられるが、 これには、 米国産牛肉の対日輸出動向が深く関係し ている。 これを、 過去6カ月 (95年10月〜96年3月) の日本の輸入動向からみて みると次のとおりとなっている。 同期間のわが国の総輸入量は30万3千トンと、 前年比5.5%増加しているが、 うち米国についてみると、 14万3千トンで、 前年 比15.3%も大幅に増加している。 これに対して、 豪州は14万7千トンで、 前年比 2.4%減と、 逆に、 減少している。  なお、 同期間の対日輸出シェアでは、 豪州が48.4%に対して米国は47.1%と、 豪州がかろうじて、 シェア第一位を維持しているが、 国別輸出動向のすう勢とし ては、 米国の 「追い上げ」 により、 豪州の輸出が伸び悩んでいる様子が窺える。

● 対米輸出も低調


 また、 日本に次ぐ第二の輸出市場である米国向けの輸出価格も、 長期間、 前年 割れの状態が続いている。 4月 (速報値) の米国向けカウミート輸出価格は、 1 kg当り173豪セント (約150円/kg) となり、 前年比25.6%減という大幅な下落を 示した。 現在、 米国ではキャトルサイクルのピークにさしかかっており、 供給増 によって厳しい価格低迷が続いている。 米国の供給増と価格の低迷は当面継続す る気配であり、 今のところ、 豪州の対米輸出価格の回復の目算は立っていない。

● 巻き返しの道を模索する豪州


 現在のところ、 豪州はこうした不振状況を打開する有効な一手を打ち出せない でいる。 しかしながら、 そうした状況下において、 従来からの東南アジア向けの 肥育用生体牛輸出を強化したり、 新たにエジプトや中国に同肥育用生体牛輸出を 始めるなど、 生体牛の輸出を増やす動きがあるが、 牛肉産業も含めてトータルに みた場合、 これは、 問題を必ずしも本質的に解決することにはつながらないとみ られる。  こうした中、 輸出促進のイメージブランドである 「オージービーフ」 の知名度 向上を重視した従来のマーケティングから、 より品質の向上や需要家の望む品質 規格に焦点を当てたマーケティングへの移行を検討するなど、 対日牛肉輸出のシ ェア回復を目指す動きも出てきており、 今後の豪州の出方が注目される。
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