EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○デンマークのチーズ輸出状況



● チーズのほとんどが輸出用として生産

 デンマークは、 94年に、 約24万トンのチーズを域内および域外に輸出した。 こ の輸出量は、 EU15カ国のなかで4番目であるが、 同国の同年の生産量が約29万ト ンであることからすると、 そのほとんどが輸出用に向けられたことになる。 同国 のチーズ輸出量は、 88年から全体として増加傾向にあり、 95年1月〜11月の輸出 量は、 対前年比6.8%増の約24万トンとなった。  デンマークのチーズ輸出量が全体的に伸びた理由は、 フレッシュタイプのチー ズの輸出が極めて伸びたことにある。 88年にはほとんど輸出されていなかったフ レッシュタイプのチーズは、 94年には、 実に約4万2千トンも輸出されるように なり、 その輸出シェアにおいても、 約17.5%を占めた。 また、 プロセスチーズの 輸出量も順調であり、 94年には、 約1万9千トンが輸出された。

● 95年には、 域内向け輸出が域外向けを上回る

 デンマークのチーズ輸出の輸出先別シェアは、 88年には、 域外向けが約70%で あったが、 95年1月〜11月の輸出量では、 域内向けが50.4%、 域外向けが49.6% と、 遂に域内向けが域外向けを上回った。  域内では、 ドイツへの輸出量が最も多く、 94年は、 約5万9千トンであった。 また、 注目すべきことは、 フランスへの輸出の伸びが目覚ましいことであり、 94 年にはフレッシュタイプを中心に約5千トンとなった。 これは、 88年に比べると 約5倍となっている。 フランスでは、 近年、 フロマージュ・フレといわれるフレ ッシュタイプのチーズが急激に消費を伸ばしているが、 デンマークのフランスへ の輸出量の増加には、 フレッシュタイプのチーズ輸出に負うところが大きい。  また、 域外輸出では、 イランへの輸出量が最も多く、 94年は、 約2万8千トン であった。 しかしながら、 イランへの輸出量は、 88年に比べると、 半分以下とな っている。 なお、 日本向けの輸出量は、 94年は約1万4千トンとなっているが、 近年、 ほぼその前後の水準で推移している。

● フェタチーズも域内向け輸出が増加

 現在、 その名称使用をめぐって問題となっているフェタチーズ (月報トピック スP7参照。) については、 94年の輸出量が約7万9千トンと、 デンマークが輸出 しているチーズの中で最も多い。 しかしながら、 その輸出量は、 88年に比べると、 20.6%も減少している。 フェタチーズの輸出先は、 イラン、 サウジアラビア、 エ ジプトなど中近東諸国向けがほとんどでそれらの国が約90%を占めている。 特に、 イラン向け輸出は、 そのほぼ全量をフェタチーズが占めている状況にある。 また、 域内向けでは、 ドイツを中心に輸出されており、 94年では、 全体で約8千トンが 輸出された。  フェタチーズの輸出もまた、 ほかのチーズと同様に、 その比重が徐々に中近東 諸国から域内向けにシフトしつつある。 このことから、 デンマークがフェタチー ズの名称の域内での使用に固執している理由の一つに、 その域内向け輸出の促進 を重視していることを挙げることができると考えられる。
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