米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○アイスクリームの消費動向



● 牛乳・乳製品消費の8%を占める


 米国のアイスクリーム・冷凍製品 (フローズンヨーグルトなどを含む) の一人 当たり消費量は乳脂肪ベース生乳換算で、 牛乳・乳製品全体の8.2%を占めてい る (94年暫定値)。  このうち、 アイスクリームの消費量 (小売り重量ベース) は、 80年代の終わり から90年にかけてやや減少した。 その後、 スーパープレミアムアイスクリームの 登場などで、 わずかながらも回復したが、 それ以降、 ほぼ横ばいの動きとなって いる。 94年は前年同の7.3kgであった。  これに対して、 フローズンヨーグルトは、 さっぱりした味や低脂肪が消費者の 好みをとらえて、 大きく消費を伸ばしている。 94年の消費量 (同) は1.6kgで、 5年前と比較すると75%の増加となっている。

● プライベートブランドが最大のシェア


 現地業界誌によれば、 95年の販売額に基づくアイスクリームのブランド別シェ アは、 プライベートブランド (PB) が28.1%で最大であった。 以下、 ブレイヤー ズ (12.7%)、 ドレイヤーズ (9.6%)、 ハーゲンダッツ (4.7%)、 ベン&ジェリー ズ (3.8%) の順になっている。  フローズンヨーグルトについても、 PBが最大 (15.5%) で、 以下、 ドレイヤー ズ (8.5%)、 ケンプス (8.4%)、 ベン&ジェリーズ (7.0%)、 ブレイヤーズ (6.5 %) が続いている。  アイスクリームは、 PBのシェアか大きい代表的品目で、 93年には、 PB商品の品 目別の販売額で第5位になっている。 その理由としては、 アイスクリームが、 PB の成功条件である、 (1)購買頻度の高さ、 (2)製品単価の安さ、 (3)ナショナルブ ランドとの品質上の違いの少なさ、 などを兼ね備えているためと考えられる。

● 製品のトレンド


 アイスクリーム等の製品のトレンドとして、 まず健康志向への対応が挙げられ る。 業界誌によれば、 95年は、 低脂肪、 無脂肪、 ノンシュガーなどをうたい文句 にした製品の売り上げが、 大きく伸びたものとみられている。 ハーゲンダッツは、 先頃この傾向に乗じて、 フローズンヨーグルトをすべて無脂肪とすることを決め たという。  また、 エスニックフレーバーの製品も着実に増えてきている。 これは、 2010年 には黒人を抜いて、 米国最大の少数民族になるとみられるスペイン語系国民の人 口増に対応したもので、 例えば、 ココナッツ、 グアバ、 マンゴなどの、 いわゆる トロピカル系のフレーバーのものが増えている。  一方で、 他の食品分野と同様にコー・ブランド (Co-brand) 開発といわれるも のも行われている。 これは、 それぞれの会社が有する既存の商品ブランドをミッ クスすることにより、 新製品を開発するもので、 開発コストの抑制、 リスクの分 散、 消費者への訴求力の向上といったメリットを有するものである。 具体的には、 ブレイヤーズのアイスクリームとマックスウェル社のカプチーノ、 サラ・リー社 のブラウニー (ケーキ風チョコレートクッキー) との組み合わせなどが挙げられ る。  このようなさまざなま試みが行われているものの、 アイスクリーム等の市場は、 かなり成熟した市場であるため、 急激な市場拡大は望めないものとみられる。 こ のため、 この乳製品分野で、 いわゆる 「すき間」 (niches) をいかに探していく かが、 今後もますます重要になっていくだろう。
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