台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○肉豚需給動向



● 肉豚価格が下落傾向に


 肉豚卸売価格の下降傾向が定着しつつある。 昨年12月から3カ月間上昇を続け た肉豚卸売価格 (全国22市場の平均取引価格) は、 3月には下降に転じ、 肉豚 100kg当り6,138元 (対前年比107.9%:1元=約3.8円) となった。 これは前月と 比較して255元の下落となっている。  肉豚価格は4月に入っても幾分低下を続けており、 下旬には、 6,000元を割り 込む市場も主産地の一部で見られた。 今回の下落の要因は、 これまでの高価格の 「原動力」 の一つであったとみられる輸出面と、 約7割を占める内需面の双方に あるものと考えられる。

● 輸出向けと畜減と内需刺激要素消滅が要因か


 昨年11月からは、 輸入豚肉緊急措置 (SG) が発動されたが (96年3月末まで)、 さらに平成8年度第1四半期のSG発動を回避する目的で、 台湾では、 昨年12月か ら今年3月までの間、 輸出自主規制が行われた。 しかしながら、 輸出業者は、 肉 豚生産者との関係を重視して、 その期間中も通常ベースの肉豚購入 (と畜) 水準 を維持した (現地関係者) ことや、 好景気に支えられて内需も好調であったこと から肉豚価格は高水準で推移した。 しかしながら、 その後、 3月中旬以降、 肉豚 価格が下降に転じた背景には、 4月以降も新たに自主規制を行うことが確定的と なったことから、 先行き見通しの不透明感が増して、 ついに輸出業者が肉豚購入 (と畜) を減らし始めた(「養猪報導」) ことや、 2月の春節や3月の総統選挙と、 内需を支えてきた要素がなくなったことなどによるものと考えられる。  なお、 肉豚需要動向の指標となる市場取引頭数 (全国22市場) は、 肉豚生産の 減少要素が見あたらないにもかかわらず、 4月に入ってからは確実に減少してお り、 そうした需要傾向を反映したものとなっている。

● 政府は自主規制の徹底を期す


 次に輸出動向についてみると、 台湾政府は、 対日主要豚肉輸出国の3月末の在 庫水準を総計30万トン以上とする推計を明らかにし、 それらの輸出圧力をにじま せることで第2四半期のSG発動の可能性を示唆しつつ、 輸出自主規制の徹底を期 すよう努めている。
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