初回の5万トンの牛肉介入買い入れ終了 (EU)





● 予想外に少なかったイギリス産の買い入れ


 4月3日の緊急農相理事会での合意を受け、 EUではBSE関連対策の一つとして 牛肉の介入買い入れが実施され、 4月中に、 2回にわたり合計約5万トンが買い 入れられた。  第1回目の買い入れは合計9,230トンであったが、 このうち、 実施前から、 買 い入れ対象規格牛が少ないといわれたイギリスの数量はわずか140トンと、 全体 の1.5%を占めたにすぎなかった。 このため、 イギリスの救済を念頭に買い入れ 対象の規格を拡大し、 第2回目の買い入れが実行された。  しかしながら、 2回目の買い入れにおいてもフランスとドイツがそれぞれ全体 の3割を占めた一方で、 イギリスは合計で4,106トン、 全体の約8%にとどまっ た。

● 経費増、 価格安による供給減が一因


 イギリスが予想外に少なかった理由は、 同国産の特定臓器の販売が禁止された ことにより、 その処分コストが上乗せさせられて、 と畜経費が上昇していること や、 介入買い入れ対象製品に同じ敷地内でと畜、 解体および冷凍処理を施されな ければならない (イギリスではこの二つを併設した施設は非常に少ない) という 条件が付されていることが挙げられる。  また、 肉牛生産者が現下の安値を嫌って、 出荷を見合わせていることや、 著し い消費不振から在庫が急増して、 すでに冷凍保管施設が一杯となっていることな ども、 イギリスの数量が低水準にとどまった一因と指摘されている。

● 5月中に6万5千トンの追加買い入れ措置


 当初計画された5万トンの介入買い入れはこれで終了したが、 この数量はEU全 体 (12カ国) の一月分の生産量の8%程度にしか当たらないとして、 その効果を 疑問視する声も出ていた。  また、 需要の減少が著しい、 アイルランド、 フランス、 ドイツなどの状況を考 慮して、 EU委員会は、 5月中にさらに6万5千トンを買い入れることを決定し、 5月10日には、 第1回目の約4万トンの買い入れを決定した。  しかしながら、 域内では牛肉需要の著しい減退が伝えられており、 特にイギリ ス産牛肉の買い入れに対しては、 行き場のない在庫の山を築くだけとの非難も出 ている。
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