牛肉消費の減少に歯止めがかかるか? (豪州)





● 1人当たり消費量は20年間一貫して減少


 牛肉は、 豪州の食肉消費の中心であるが、 近年は、 健康志向の高まりや、 ほか の食肉と比べての割高感などから、 その消費量は低落傾向にある。 年間の1人当 たり牛肉消費量は、 76年の約70kgをピークに一貫して減少を続け、 最近では約35 kgと半減している。 このような消費者の牛肉離れに歯止めをかけるため、 豪州食 肉畜産公社 (AMLC) は、 93年からテレビや雑誌広告を利用して 「牛肉は栄養価の 高い健康的な食品で、 特に不足しやすい鉄分を豊富に含んでいる」 ことを中心に、 大々的な販売促進キャンペーンを繰り広げてきた。

● 牛肉の 「鉄分豊富」 イメージは着実に浸透


 AMLCは、 同キャンペーンの浸透度および牛肉の消費動向を把握することを目的 として、 95年10月、 シドニーなど主要3都市に居住する消費者を対象にアンケー ト調査を実施した。  この調査結果によると、 鉄分摂取に最適な食品は牛肉であるとする回答が全体 の70%に達し、 ホウレンソウ、 魚類、 鶏肉を抑えトップとなった。 ちなみに、 こ のキャンペーン開始前の93年6月時点では、 同じ質問に対する回答のうち、 牛肉 の割合は44%であった (トップはホウレンソウの46%)。 また、 今回のアンケー ト回答者の39%が、 現在より多い鉄分の摂取を望んでおり、 そのうち76%が供給 源として牛肉を挙げた。

● 牛肉に対する消費者のイメージを変えられるか


 しかしながら、 同時に、 牛肉は脂肪を多く含むとした回答者が全体の約半数に 上ったことに加え、 過度の脂肪摂取は心臓病を引き起こす原因になると答えた人 が、 前回調査の40%を上回る45%であったことなど、 牛肉のマイナスイメージも、 消費者の間で依然として根強いことが示された。  AMLCは、 キャンペーンの成果により、 消費者の牛肉に対するイメージは改善さ れつつあるとしているが、 果たして、 これが牛肉消費の減少傾向の歯止めにつな がるかどうか、 今後の動向が注目されている。
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