米国産冷凍鶏肉の輸入を一時停止 (シンガポール)





● 米国企業の鶏肉製品を一時輸入停止


 シンガポール政府当局 (第1次産品局) は、 4月、 米国の大手食品会社から輸 入した22トンの冷凍鶏肉と鶏肉製品の一部に品質の劣化したものがあったことを 理由に、 3月16日から、 同社の冷凍鶏肉および鶏肉製品の輸入を一時停止してい ることを明らかにした。  この措置は、 3月に実施された輸入時の通常検査において、 米国から輸入した 同社の製品の一部に食用に適さないものが認められたことによるものである。 シ ンガポール到着時に既に品質が劣化していたことから、 これらの製品は、 輸入が 認められなかった。  今回の品質劣化の原因については、 箱詰め後の凍結過程に問題があったとみら れている。 当局は、 販売停止措置の解除には、 今後の再発防止の措置と米国の担 当行政当局による証明が必要であるとしている。

● 企業側は輸入停止解除を要請


 同社は、 この措置を受けて、 早急な改善に乗り出した。 同社は、 米国内に57カ 所の処理場を持っているが、 うち数カ所にしか急速凍結の設備がない。 このため、 シンガポール向けの冷凍鶏肉の生産は、 急速凍結設備を持つ処理場に限定したほ か、 製品の箱にシンガポール向けの商品であることを明記して、 製品管理もより 厳格にした。 同社は、 これらの改善措置により再発の可能性はなくなったとして、 販売停止措置の解除を求めており、 今後のシンガポール政府の対応が注目されて いる。

● 国内市場への影響は軽微


 シンガポールでは、 食肉消費に占める鶏肉の割合が高いが、 輸入鶏肉は、 マレ ーシアから生体で輸入される生鮮鶏肉が主流で、 冷凍鶏肉は、 米国をはじめとし てブラジル、 オランダなどから輸入されている。 冷凍鶏肉は、 鶏肉消費量全体の 約5%に過ぎないことから、 今回の措置が、 シンガポール国内に及ぼす影響につ いては、 それほど大きくはならないものと予想される。  ちなみに、 昨年、 シンガポールは5万9千トンの冷凍鶏肉を輸入したが、 うち 2万2千トンが米国からの輸入であった。 この会社は、 一般家庭向けのほか、 数 多くのファストフードチェーン、 ホテル、 レストランなどの外食産業向けに冷凍 鶏肉を供給しており、 昨年のシンガポールでの売り上げは、 約1千6百万シンガ ポールドルとなっている。
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