農業関連の雇用が増加 (米国)





● 約20年間に全体では3割の増加


 米国商務省 (USDC) が先頃発表したところによれば、 92年の米国における農業 関連雇用数 (自営を含む) は2,160万人となり、 75年の1,690万人と比較すると27. 8%の増加となる。 なお、 同部門の全雇用者数に占めるシェアは15.8%となった。  この調査では、 農業関連雇用を(1)直接的農業生産、 (2)生産資材供給、 (3)加 工販売、 (4)農産物流通および外食、 (5)その他関連ビジネス、 の5つに分類し、 それぞれの部門ごとにその増減などを報告している。

● 直接的農業生産雇用は大幅に減少


 最も注目される(1)の直接的に農業生産に関与する雇用者の数は、 農産物の生 産量が増大しているにもかかわらず減少傾向を示しているが、 これは、 大規模化、 生産技術の向上などによる合理化、 省力化によりもたらされたものである。 同部 門の92年の雇用者数は、 獣医などのサービス業務の雇用数を含めて、 348万人と なっており、 75年と比べると16.4%減少している。  一方、 全体としては農業関連の雇用が増加している最大の要因としては、 昨今 の経済のソフト化の急進を反映して、 (4)の小売業などの流通部門、 レストラン やファストフード店などの外食部門での伸びが挙げられている。 この部門におけ る92年の雇用者数は、 75年と比べて77.8%増加の1, 400万人で、 農業関連雇用数 全体の64.4%を占めている。

● 今後も同様の傾向が継続


 今後の動向については、 経済の拡大が長期にわたって続いていることから所得 の増加が見込まれることや、 消費者の食生活の形態、 ニーズが引き続き変化して いくことなどを反映して、 引き続き外食部門や流通部門での雇用増が継続すると みられている。 後者の例としては、 消費者の要望にこたえる形で、 スーパー店内 にサラダバー、 ベーカリー、 デリカテッセン等を設けることによって、 サービス 提供を伴う雇用機会が増えることなどが挙げられる。  これに対して、 農業関連雇用創出の基礎をなす、 直接的農業生産部門について は、 生産性のさらなる向上などにより、 今後も雇用が減少していくことが見込ま れている。
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