米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○牛肉の消費動向


● 前年並みと見込まれる96年の1人当たり消費量


 米農務省 (USDA) によると、 米国の1人当たりの年間牛肉消費量 (小売重量ベ ース) は、 過去2年、 前年を上回って推移していたが、 96年は前年と同じ67. 4 ポンド (30. 6kg) になると見込まれている。

● 70年代後半から減少に向かった消費量


 1人当たりの消費量の長期トレンドを見ると、 70年にはすでに84.6ポンド (38. 4kg) に達していたが、 その後も増え続け、 76年には94. 4ポンド (42.8kg) と、 ここ25年間で最高を記録した。  しかし、 その後は、 牛肉が他の食肉に比べ高値であることや、 消費者の健康意 識の高まりによる脂肪 (コレステロール) の健康面への影響が取りざたされるよ うになったことから敬遠され、 概ね前年を下回る傾向で推移した。 さらに、 90年 代初めには、 牛飼養頭数の減少による小売価格の上昇や、 経済の低成長により、 消費者の購買意欲が減退したことから、 消費量が減少したといわれている。

● 消費者の評価の変化により増加に転ずる


 しかし、 減少傾向で推移してきた牛肉の1人当りの消費量は、 93年を底に増加 に転じ、 94年は前年と比べ0. 6%、 また、 95年は前年と比べ3. 8%それぞれ上回 った。  これは、 (1) 消費者が、 牛肉のもつ栄養価値について再認識したこと、 (2) 牛肉の小売価格が、 長期に渡って、 低下傾向で推移し、 他の食肉との価格差 が縮まったこと、 (3) 牛肉産業がマスコミを使って積極的な牛肉の販売促進・ 消費拡大の宣伝活動を行ったこと等、 によるものであると考えられている。  しかしながら、 業界関係者は、 今後とも牛肉の消費量を伸ばすうえで大事なこ とは、 牛肉の小売価格を低価格で推移させるのはもちろんのことながら、 食事の 準備時間が30分以内となるような牛肉使用レシピーを開発することにより、 消費 者に牛肉を使いやすい食材として認識させる必要性があると指摘している。
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