米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○ブロイラーの価格動向


● 好調な丸どり卸売価格


 ブロイラーの丸どり卸売価格 (主要12都市平均、 中抜き、 以下同じ) は、 好調 な輸出需要に支えられて、 95年7月以降一貫して前年水準を上回って推移してい る。  96年10月は、 前年同月に比べて7.1%上昇して63セント/ポンド (約159円/kg) となり、 96年1月から10月までの平均では約61セント/ポンドで、 前年同期比9. 2%の値上がりとなった。

● 低迷するむね肉卸売価格と好調なもも肉卸売価格


 主要品目別でみると、 主として国内向けに供給されるむね肉は、 最近のブロイ ラーの生産増加の影響を受けて、 96年8月以降前年水準を下回って推移している。 96年10月のむね肉の卸売価格 (ボンレス、 北東部) は、 前年同月に比べて2. 6% 低下し169セント/ポンドであった。  これとは対象的に、 主要輸出品目であるもも肉は、 好調な輸出需要を反映して 堅調に推移している。 96年10月のもも肉の卸売価格 (ホール、 北東部) は、 前年 同月を5. 7%上昇し59セント/ポンドであった。

● 輸出割合は増加の見通し


 輸出は、 生産のおよそ16%を占めており、 今後も割合は高まることが見込まれ るなど、 ブロイラー産業において重要な位置を示している。  輸出仕向け先としては、 ロシア、 香港が多く、 この2国のみで総輸出量のおよ そ63%の割合を占めている。 なお、 香港向けについては、 その大半が中国に再輸 出されているとみられるが、 近頃では直接中国向けの輸出が急増している。

● 中国向け輸出に問題発生


 ところが、 中国政府は、 10月15日以降、 アーカンソー、 ノースカロライナなど の主要生産地を含む米国10州からの家きん、 家きん肉及び鶏卵に対し輸入を禁止 すると発表した。 これは、 米国内でダチョウの群れから発見された感冒病原体の 国内侵入を危惧して出した措置であるとされた。 しかし、 米国政府は、 83年以降 この病原体は国内で発見されておらず、 かつ、 人体等に感染する恐れもないこと から、 中国に対して問題解決のための協議を求めた。 その後、 10月下旬に両国の 専門家の会合が持たれた結果、 禁止措置は解除となった。  米国ブロイラー輸出業界では、 禁止措置が取られている間も、 一部の港を除き 輸出は継続していたことから、 表向き大きな影響は出ていないとしている。 しか しながら、 中国向けの輸出品目は、 手羽、 手羽先などが主流となっており、 これ らを大量に輸出できる市場は他に存在しないことなどから、 短い期間ではあった ものの、 米国ブロイラー業界に与えた心理的な影響は少なくなかったと思われる。
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