世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○飼料穀物の取引価格が急落


● トウモロコシは今年最高値の半分以下に


 米国で飼料穀物の取引価格が急落している。 シカゴ商品取引所 (CboT) のトウ モロコシ先物価格は、 10月末の終値が266セント/ブッシェルと、 今年7月に記 録した史上最高値 (548セント/ブッシェル) の半分以下の価格となったほか、 前年同月比でも80%の水準にまで低下した。  また、 前年同月比で40〜50%の高値を続けていた大豆ミールの先物価格も、 10 月末には219ドル/トンと、 前年同月比5%高の水準にまで低下して落ち着いた 動きを示すようになった。

● 米国が生産量を上方修正


 今回の価格急落は、 米農務省 (USDA) が本年度の生産見込みを上方修正したこ とが直接のきっかけとなった。 USDAの10月発表の需給予測では、 96年の米国の飼 料穀物生産量が、 前月発表値を6百万トン以上も上方修正され、 260百万トンに なるとされた。 これは、 対前年比では、 約24%もの増産となる。  この結果、 世界の飼料穀物生産量についても、 874百万トンと前月より8百万 トン上方修正され、 対前年比で約10%の増産が見込まれることとなった。

● 主要国の小麦の増産も影響


 この他の品目では、 96/97年度 (9〜8月) は、 主要国の小麦生産が、 EU (前 年度比14%増)、 カナダ (同17%増)、 豪州 (同18%増)、 アルゼンチン (同64% 増)と、 軒並み大幅に増加することが見込まれている。 小麦は、 その一部が飼料 用に仕向けられることから、 この増産は、 飼料穀物の需給に対して一層の緩和効 果を及ぼすことになると予想される。

● 中国の豊作も需給安定に寄与


 また、 中国の穀物生産も、 96年は、 対前年比3%増の史上最高の豊作になると 見込まれている。 中国は、 近年は穀物輸出国であったが、 94年が不作だったこと の影響で、 95年にはネットの穀物輸入国に転じて世界の穀物関係者を慌てさせた。 従って、 国際市況を見るに当たっては、 中国の豊作が、 世界の穀物需給に安定感 を与えていることの影響も見逃せない。

● 在庫水準はかなり回復へ


 以上のことから、 単年度では回復困難と見られていた在庫水準が、 当初の予想 を上回るスピードで回復すると見込まれている。 USDAの10月発表需給予測では、 96/97年度の世界の飼料穀物在庫は、 108百万トン (対前年度比19%増) となり、 在庫率 (在庫量/総需要量) も前年度末の7. 9%から12. 6%まで回復するとさ れた。  さらに、 USDAは、 96/97年度のトウモロコシ取引価格について、 こうした需給 の緩和を背景に、 前年度より20%安の280〜320セント/ブッシェルの範囲に落ち 着くものと予測している。
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