米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○チーズの生産と消費


● チーズへの生産量が増加


 全米の生乳生産量は、 94年、 95年と前年を上回って推移してきた。 しかし、 96 年 (1月から9月) には、 飼料価格の高騰や酪農家の生産意欲の低下による飼養 頭数の減少により、 1, 166億ポンド (約5,290万トン) と前年同期と比べ1.0%減 少している。  このような中、 チーズの生産量は、 消費者の購買意欲の高まり、 ピザやハンバ ーガー等のファスト・フード業界の業務用の引き合いの増加、 そして、 原料乳供 給の先行きが不透明な中での販売製品の確保の動きを反映して、 他の主要乳製品 (バター、 脱脂粉乳) とは対照的に前年を上回って推移しており、 96年に入って からも、 前年同月を2.8%から11.4%上回って伸びている。  75年から95年の20年間のチーズ生産量は、 概ね、 前年を上回って推移しており、 96年の1月から9月の累計生産量 (カッテジチーズを除く) も、 53億8千9百万 ポンド (244万トン) と、 前年同期を5%上回った。  種類別で見ると、 チェダーチーズ等のアメリカンタイプのチーズの生産量は、 2,481百万ポンド (113万トン)、 また、 モッツアレラチーズ等のイタリアンタイ プのチーズの生産量は2, 061万ポンド (93万トン) と、 それぞれ前年同期に比べ 5. 9%、 6. 1%増加している。

● 生乳の仕向け割合が逆転か


 このため、 生産された生乳の乳製品等への仕向け割合は、 65年には、 生乳生産 量の45%が飲用向けに仕向けられ、 チーズ生産には13%が仕向けられていたにす ぎなかったものが、 95年には、 飲用向けが36%に低下したのに対して、 チーズ向 けは34%と大幅に高まった。  また、 関係団体の試算では、 チーズの需要が今後も拡大すると予想されること から、 2000年までには、 飲用向けとチーズ向けの仕向け割合が逆転し、 生乳生産 量の40%がチーズ生産に向けられると見込まれるのに対して、 飲用向けに仕向け られるのは37% になると見込まれている。

● チーズの消費量も増加


 チーズの消費量は、 ファスト・フード業界での業務用需要の拡大や、 消費者ニ ーズに対応した低脂肪タイプの開発による製品の多様化による消費の増加、 また、 デイリーボードによる消費拡大活動による外食産業や一般消費者への普及啓蒙活 動により、 順調に伸びている。  1人当りのチーズ (全体) の消費量は、 75年に14. 27ポンド (6. 5kg) であっ たものが、 95年には27. 37ポンド (12. 4kg) と、 20年間で92%増加した。  アメリカンタイプのチーズの消費量は、 87年までの増加傾向の後、 脂肪分が消 費者から敬遠されて減少していたが、 92年以降は低脂肪製品等製品が多様化した こと等で回復に向かい、 95年には11. 83ポンド (5. 4kg) になった。 しかし、 こ のタイプのチーズの消費量全体に占めるシェアは、 75年の57%から95年には43% に減少している。  イタリアンタイプのチーズの消費量は、 ファスト・フードや宅配ピザでの需要 拡大によって増加しており、 特にモッツアレラチーズは75年に2. 12ポンド (0.9 6kg)であったものが、 95年には7.96ポンド (3.6kg) と、 20年間で比べて275%も 増加した。 また、 モッツアレラチーズの消費全体に占めるシェアは、 75年の15% から95年には29%と倍増している。
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