米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○肉豚の飼養動向


● 飼養頭数は減少


 米農務省 (USDA) によると、 96年9月1日時点の豚飼養頭数は、 飼料の高騰に よる養豚経営の生産意欲の減退などを反映し、 5, 820万頭と前年同時期と比べて 4. 7%減少した。 飼養頭数の内訳では、 繁殖豚頭数が前年同期比1. 9%減少の67 7万頭、 肥育豚は前年同期比4. 1%減少の5, 143万頭となった。

● 家族経営中心のアイオワ州が飼養頭数の第1位


 州別の飼養頭数を見ると、 アイオワ州が1,300万頭で第1位、 以下ノースカロ ライナ州930万頭、 ミネソタ州490万頭、 イリノイ州470万頭、 インディアナ州380 万頭、ネブラスカ州370万頭の順であった。 なお、 ノースカロライナ州以外は、 依 然として、 コーンベルト地帯の伝統的な豚の飼養地域が上位を占めている。  90年の同時期と比較してみると、 伝統的な養豚地帯では、 ミネソタ州を除いて 飼養頭数が減少しているのに対して、 ノースカロライナ州は、 90年に270万頭に すぎなかったものが、 96年にはその3. 4倍に急増している。  これは、 伝統的な生産地域が家族経営を主体とした小規模養豚経営中心である のに対して、 新興のノースカロライナ州は、 肉豚生産から処理加工を一括して行 うインテグレーション的な大規模な企業養豚が主体となっており、 近年では、 そ うした大規模経営が顕著に伸びたことによって生じた結果である。

● 大規模養豚が米国西部に進出


 最近では、 ノースカロライナを中心とする東部の大規模養豚も、 ふん尿処理に 伴う環境問題が拡大しており、 肉豚の加工・処理工場の処理能力も限界に近づき つつあること、 また、 州政府の大規模養豚への規制が強化されたことから、 西海 岸の大消費地に近く、 かつ処理・加工施設の用地取得が容易なカンサス、 コロラ ド、 オクラホマ、 ユタ州等の西部地域に新たに進出しつつある。

● 大規模養豚の保有する繁殖母豚群が拡大傾向


 業界紙による、 大規模養豚業者の保有する繁殖母豚頭数によるランキング (96 年10月時点) によると、 第1位のマーフィー・ファミリー・ファームが26万頭、 以下、 スミスフィールド・フーズが11万2千頭、 キャロル・フーズが11万1千頭、 タイソン・フーズが11万頭、 プレミアム・スタンダード・ファームが10万5千頭 の繁殖母豚を保有しており、 全米の繁殖母豚頭数が減少する中で、 逆に前年と比 べて、 それぞれ1%から18%の範囲で頭数が増加しており、 今後も拡大傾向が続 くと予想されている。
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