農業分野はサマータイムを支持 (EU)



サマータイム規則改定に当たって意見を聴取


 EU委員会は、 農業を含む各産業界におけるサマータイム (日照時間が長い季節 に、 標準時間よりも時刻を1時間進ませる期間) が及ぼす影響などについての分 析を行った。 この分析は、 98年以降2001年までのサマータイムの実施につ いて、 開始日時を毎年3月最終日曜日の午前1時 (グリニッジ標準時、 以下同じ)、 終了日時を同10月最終日曜日の午前1時とするEU第8次指令案を閣僚理事会と 欧州議会に提出するに当たって行われたもので、 その際、 各産業界から意見が聴 取された。

円滑な経済活動を目的に域内の統一実施を目指す


 EUのサマータイムは、 その設定期間が加盟国によって異なった場合、 円滑な経 済活動の障害になるとの理由で、 実施期間の段階的調和を目指し、 81年から理 事会指令として法制化された。  これまで7回の改定を経たが、 現行の 「第7次EU指令」 (94年に制定) にお いて、 特に運輸・通信分野でのコスト削減の観点から、 それまでイギリス/アイ ルランド地域と他加盟国間で違っていたサマータイム終了日の一本化が決定した ことにより、 今年はじめて全加盟国において統一した期間 (3月最終日曜日午前 1時から10月最終日曜日午前1時) で実施された。  EU委員会は、 今回の 「EU指令案 (第8次改定) 」 を提出するに当たって、 1)現 行のサマータイムの継続、 2) サマータイムの継続およびイギリス/アイルラン ドの時刻を大陸地域の時刻 (現在1時間の時差) に統一、 3) サマータイムの廃 止およびイギリス/アイルランドの時刻を大陸地域の時刻に統一、 以上三種類の 案を提示し、 これに対する意見を取りまとめた。

農業分野はマイナス影響少なく継続を望む


 農業分野からは、 欧州農業団体委員会 (COPA) を中心に、 1) 肉牛および乳牛 の飼料給与、 搾乳については規則的な時間帯により行う必要性があること、 2)農 作業の多くは、 時刻よりも太陽の動きに応じて行われること、 3)特に穀物の収穫 作業は天候に左右され、 この時期における作業は夜間、 週末を問わず行わなけれ ばならないこと、 などの意見が提出されたが、 サマータイムそのものが農作業に 与えるマイナス面の影響は少ないとしている。  一方で、 サマータイムの廃止に対しては、 最も作業が集中する夏期に日中の時 間を切り詰めることになり、 余暇の利用などの面で農業者への影響が出るとして、 結論としてはサマータイム継続の立場を取っている。  今後、 この提案は、 欧州議会、 閣僚理事会において本年末まで審議が行われる 予定となっているが、 既にフランスはEU一律のサマータイムの実施に対し反対の 立場を表明しており、 採択までには難航が予想されている。
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