アジア向け農産物輸出の強化委員会が発足 (豪州)



アジアは豪州農産物の最大の市場


 豪州連邦政府は、 先頃、 アジア諸国への農産物輸出強化を図るための委員会を 発足させた。  アジア諸国は、 地理的に豪州に近いことから、 伝統的に豪州農産物の重要な市 場となっているが、 特に、 近年は、 人口増加、 経済発展が著しいことから、 農産 物需要をさらに拡大させるものと見込まれている。  このため、 アジア向け輸出の地盤強化は、 将来の豪州農業の持続的発展にとっ て、 非常に大きな意味を持っている。 同委員会の設立に当たって、 代表のハワー ド首相は、 農産物の輸出振興が、 連邦政府の重要な政策課題の一つであることを 強調した。

官民一体となって輸出競争力を強化


 同委員会は、 ハワード首相をはじめ、 アンダーソン第一次産業大臣などの主要 閣僚をメンバーとするほか、 スーパーマーケット業界、 食品加工メーカー、 輸出 業界、 生産者団体、 研究機関などからも幅広く人材を集めており 「豪州をアジア のスーパーマーケットに」 をスローガンに、 官民一体となってアジア向け輸出の 拡大に取り組む姿勢を示している。  今後、 同委員会は、 輸出農産物の品質向上と安定供給、 生産・加工・流通の各 段階のコスト削減による競争力強化、 輸入相手国のアクセス改善、 需要動向に関 する情報収集と市場分析などの課題に取り組むこととなっている。

アジアの輸入食品市場は7兆円規模


 なお、 第一次産業エネルギー省 (DPIE) によれば、 人口が1千8百万人の豪州 の国内農産物市場は、 これまで年間6億豪ドル (528億円) 程度しか伸びてい ないのに対し、 アジア市場は、 年間160億豪ドル (1兆4千億円) もの拡大を みせている。  また、 アジアの食品市場は、 今世紀末に6, 850億豪ドル (60兆円) に 達すると見込まれており、 そのうち少なくとも12%に当たる830億豪ドル (7兆3千億円) は、 輸入に依存すると予想されている。  DPIEは、 豪州農産物がアジア市場で確固たる地位を占めることによって、 農業 生産者、 加工業者、 流通業者のすべてが利益を享受できるとしている。
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