進む農産物の品質保証の動き (豪州)



国際市場での競争力確保が目的


 豪州では、 農産物の生産から加工に至るまでの段階における品質保証 (QA:Qua lity Assurance) システムの導入が急速に進展してきている。  これは、 全世界的に、 食品の安全性、 品質保証に対する消費者の要求が強まる 中で、 農産物の輸出大国である豪州にとって、 これらのニーズに適切に対応する ことが、 国際市場での競争力と利益の確保につながるためである。

畜産物では牛肉のQAがリード


 畜産物分野では、 牛肉に関するQAが最も進んでいる。  農場段階では、 危害分析重要管理点監視 (HACCP) 方式を採用し、 ISO9002 に準拠した 「キャトルケア」 と呼ばれるQAシステムが既に普及段階にある。 また、 フィードロット段階では、 穀物肥育牛肉の品質を保証する 「全国フィードロット 認定制度」 がほぼ完全に普及している。 さらに、 と畜段階でも、 HACCP方式を採用 したQAシステムの導入の義務付けが推進されている。

他の畜産物分野でも導入が進展


 その他の畜産物についても、 ほぼすべての分野でQAの導入が検討されている。  羊毛に関しては、 既に豪州の2大ブローカーがそれぞれ独自のQAシステムを導 入し、 QA羊毛の取引シェアも順次拡大している。 また、 肉用羊 (生体輸出用を含 む) の生産に関しても、 キャトルケアと同様に、 HACCPに準拠したQAシステム「フ ロックケア」 が豪州羊肉評議会を中心として検討されている。  このほか、 酪農産業でも、 HACCPに準拠した農家段階のQAシステムのトライア ルが既に開始されており、 さらに、 養豚および養鶏産業も、 それぞれHACCP準拠 のQAシステムの構築に向けたプロジェクトを進めている。

飼料等の関連分野でも導入の動き


 さらに、 このような畜産物分野でのQA導入の動きは、 飼料穀物など関連分野で のQA導入を促している。 すなわち、 畜産物の品質を保証するうえでは、 その飼料 の品質も保証されていることが必要となるためである。  また、 畜産物と並ぶ重要な輸出品である小麦についても、 QA導入についての動 きが進展している。  豪州食肉畜産公社(AMLC)のケリン総裁は、 今年2月、 農業観測会議の際に「QA 導入以外に選択肢はない」 と語ったが、 豪州では、 食肉分野に限らず、 農業界全 体が、 QAの普及・徹底を至上命題としているようである。
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