乳質改善への取り組みを強化 (豪州)



主要酪農州が良質生乳の生産を奨励


 豪州の主要酪農州で、 良質生乳の生産奨励を強化するための取り組みが行われ ている。  最大の生乳生産量を誇るビクトリア州 (95/96年度の生乳生産シェア63 %) では、 大手乳業メーカーが、 体細胞数が継続して一定数を下回った生乳に支 給するプレミアムを、 今年7月以降、 倍増する措置を取っている。  また、 ビクトリア州に次ぐ酪農州であるニューサウスウェールズ州 (同シェア 13%) の酪農公社 (NSWDC) も、 今年6月から、 取引される生乳の品質に基づ き、 生産者に支払う乳価に格差をつけている。

良質生乳に高いプレミアムを支給


 NSWDCの措置を具体的にみると、 生乳中の体細胞数などに基づいて生乳の規格 を5つに区分し、 それぞれの規格に応じて、 生乳出荷者にプレミアムまたはペナ ルティーを課すものとなっている (表) 。 生乳規格によるプレミアムおよびペナルティー (NSWDCの例)  なお、 最近発表されたNSWDCのレポートによると、 A規格の生乳のシェアは、 こ の制度を導入する以前の5月には25%であったが、 制度導入2カ月後の8月に は45%に拡大した。  一方、 DおよびE規格の生乳シェアは、 5月には8%であったが、 8月には2〜 3%に減少した。 さらに、 同州で昨年6〜7月に取引された生乳中の平均体細胞 数は、 1ミリリットル当たり31万5千個であったものが、 今年の同期間には、 24%減の24万個となった。

酪農業界も独自のQA策定を開始


 NSWDCの報告書は、 良質生乳の生産奨励が功を奏し、 取引される生乳の品質改 善が急速に進んでいることを示す例であるが、 乳業団体・メーカーのこうした動 きを受けて、 酪農業界全体が、 農家段階における乳質改善、 衛生強化を進めるた めの取り組みを開始している。  具体的には、 ニュージーランドの酪農産業や、 豪州の牛肉産業内で行われてい る品質保証制度 (QA) を参考に、 独自のQAシステムの策定を進めていることであ る。 このシステムは、 ビクトリア州などの80戸の酪農家によって既にトライア ルが開始されている。  このトライアルは、 来年5月まで実施され、 その間にシステムの問題点などが 検討されることとなっている。
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