USDA、 環境改善促進事業の規則案を発表 (米国)



畜産環境対策に重点


 米農務省 (USDA) は、 10月11日に、 環境改善促進事業 (EQIP) の規則案を 発表した。  EQIPでは、 96年農業法に基づき、 USDAによる環境改善に関する情報の提供や 生産者への指導・助言が行われるとともに、 州政府と協力して水質、 土壌等の保 全の面から環境改善対策の実施が必要な地域を特定し、 家畜のふん尿処理施設な どの設置が実施される。  また、 予算の2分の1が畜産農家の環境改善対策に使用されることから、 畜産 環境対策に重点を置いた事業であるともいえる。  事業の実施にあたっては、 政府と生産者との間で、 5年から10年の契約が交 わされ、 環境改善計画が作成された後、 ふん尿処理施設や土壌改善施設の設置な どの環境改善対策が実施される。  なお、 この事業を管轄するのは、 商品金融公社 (CCC) であるが、 実際の事業 の実施については、 生産者と関係の深い天然資源保全局 (NRCS) や農家サービス 局 (FSA) が、 生産者への指導や事務的な業務を行うことになっている。

補助対象を家族経営に制限


 このうち、 家族経営農家向けに実施される、 ふん尿処理施設、 農薬管理施設、 土壌改善施設の各設置事業は、 事業費の75%までの補助金を受給できるとされ ているが、 年度毎の1農家当たりの補助額は1万ドル (約110万円) で、 事業 実施期間の通算額で、 5万ドル (約550万円) の受給制限が定められている。  環境改善対策に関する情報や指導・助言を行う事業については、 原則として、 経営規模による制限は設けられていないが、 施設の設置を行う事業の場合は、 大 規模経営を補助対象から除外している。  このように、 経営規模が補助対象の判断基準となっていることから、 大規模経 営の範囲をどのように定めるかが大きな関心となっていたが、 今回のUSDAの提案 では、 大規模経営の定義に関する目安を示すにとどめ、 地域の実状を反映して事 業を柔軟に実施するべく、 その範囲の決定を州政府に委ねる方法をとっている。  USDAは、 この事業の実施を通じて、 米国における畜産環境問題についての情報 収集が進み、 その実態がより明らかになるものと考えている。
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