世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○世界の穀物需給がやや緩和の兆し


 トウモロコシを中心とする飼料穀物は、 昨年来、 米国等の主要国における生産
減少を背景に、 大幅な需給ひっ迫の状況が続いていた。 

 しかし、 ここにきて、 米国の今秋の収穫が順調なことが確実になったほか、 他
の主要国でも概ね良好な生産が伝えられており、 需給は、 やや緩和の兆しを見せ
つつある。 

● 96/97年度の世界の飼料穀物生産は前年比9%増


 米農務省 (USDA) が、 9月に公表した世界穀物需給予測によると、 96/97年度 の世界の飼料穀物生産量は、 前年度比9%増加の865百万トンになるとされてい る。  中でも主要品目であるトウモロコシは、 世界の生産量の約4割、 輸出量の約8 割を占める米国で、 減反を廃止する新農業法の施行等を背景に、 前年度比19%の 大幅な生産増が見込まれ、 世界全体でも前年度比8%増の554百万トンが生産さ れると予測されている。  また、 EUを主産地とする大麦も前年度比9%増の154百万トン、 米国を主産地 とするソルガムも前年度比18%増の64百万トンとなるなど、 主要な粗粒穀物は押 し並べて好調な生産が見込まれている。

● 中国も史上最高の豊作


 その他、 ここ数年、 世界の穀物需給に多大な影響を及ぼしてきた中国で、 本年 度、 史上最高の食料生産が見込まれていることも見逃せない。  9月30日付けの人民日報は、 同国の今年の食料生産が、 豊作だった昨年をさら に上回り、 史上最高の475百万トンに達するとの見通しを報じた。  世界の人口の22%を抱える同国で、 ひとたび食料生産が不振になった場合には、 2年前に米国からトウモロコシを大量輸入したごとく、 世界の穀物需給に重大な 影響を及ぼす結果となるだけに、 今回の報道は、 関係者を一様に安堵させた。

● 在庫積み増しで輸出量は前年並み


 以上のような需給情勢の変化を反映して、 穀物の国際取引価格が低下している。  特に、 トウモロコシは、 シカゴ商品取引所 (CBoT) の先物取引価格が久々に1 ブッシェル当たり2ドル台にまで低下した。  ただし、 USDAは、 前年度の期末在庫があまりにも低い水準となったため、 本年 度の生産増加分は当面の在庫の積み増しに回され、 実際に輸出に回される数量は、 ほぼ、 前年並みにとどまると予測している。  従って、 世界の穀物需給が本格的な緩和に向かうには、 まだ、 しばらくの期間 が必要と見られている。
元のページに戻る