米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○生乳価格動向等について


● 生乳価格が過去最高水準に


 米農務省 (USDA) によると、 96年9月の生乳の生産者販売価格 (飲料乳と加工 原料乳の加重平均価格) は、 16.20ドル (暫定値) と、 90年7月から9月にかけ て、 14ドル台を記録して以来の高値となった。 同価格は、 95年10月以降前年同月 より10%前後の高い水準で推移していたが、 96年6月以降は前年同月比20%を超 えて上昇している。 ちなみに、 100ポンド当たり16ドル台を記録したのは、 89年1 2月に16.00ドルを記録して以来、 7年ぶりのことである。  今回の生乳価格の高騰は、 乳牛飼養頭数の減少や飼料作物価格の高騰によって、 生産者がbSTの使用を手控えたことで1頭当たりの乳量が減少したこと、 また、 チーズ等の乳製品の需要が強く、 先行き不透明な原料乳供給に、 将来の販売数量 確保のための在庫の積み増しを意図した、 牛乳の引き合いが強まったことが原因 となっている。

● 主要乳製品の卸売価格


 一方、 主要乳製品 (バター、 脱脂粉乳、 チーズ) の卸売価格も、 概ね、 前年同 月を上回って推移している。  バターの卸売価格 (グレードA (シカゴ地区) ) は、 6月以降、 前年同月比で8 3%から95%と大幅な上昇を示し、 8月には1ポンド当たり1ドル45セント台を 記録した。 バターの売れ行きは、 昨年初めの水準よりはやや好調といわれている ものの、 バターの需要そのものが大幅に増加した訳ではなく、 今回の価格高騰は、 むしろ、 他の乳製品との競合で原料乳価格が上昇したことによるものである。  脱脂粉乳の卸売価格 (ローヒートまたはミディアムヒートのもの、 米国西部の F.O.B.価格) も、 脱脂粉乳の需要の増加よりも、 むしろ、 他の乳製品との競合で 原料乳価格が上昇したことによって押し上げられた。 当該価格は、 6月以降は前 年同月を20%前後上回り、 1ポンド当たり1ドル25セント前後で推移している。 ちなみに、 脱脂粉乳は、 業務用の利用が伸びており、 大部分はチーズの生産に利 用されていると、 USDAは見ている。  また、 チーズ (チェダーチーズ) の卸売価格 (ウィスコンシン地区、 40ポンド ブロックのF.O.B.価格) は、 消費者の購買意欲の高まり、 ピザやハンバーガー等 のファスト・フード業界の業務用での引き合いの増加、 そして、 原料乳供給の先 行きが不透明な中での販売製品の確保の動きを反映して、 8月には1ドル67セン ト台 (前年同月比26.7%増) を記録した。
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