台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○豚肉の小売価格動向


● 安定基調から上昇へ


 台湾の主要都市における豚肉小売価格は、 ここ数年来、 ほぼ安定的に推移して いる。 95年までの過去6年間について見ても、 肉豚価格 (22市場における平均取 引価格) がこの間に53.5%も上昇したのに対して、 豚肉の小売価格は、 ばら及び かた・ももで、 それぞれ、 9.1%及び1.7%の上昇に止まり、 ロースについては5. 7%低下した。  台湾の豚肉小売価格は、 従来から、 肉豚価格の動向にはあまり左右されない傾 向が強かった。 食肉関係者によれば、 これは、 小売業者が消費者との信頼関係の 維持を極めて重視し、 小売価格の変動を抑制する傾向が強いためだとしている。  しかしながら、 最近においては肉豚価格の高騰が極めて著しかったことから、 小売価格についても引き上げが余儀なくされており、 特に今年6月からの上昇幅 が大きく、 今後の動向が注目されるところとなっている。 表:台湾主要都市における豚肉小売価格の推移                        (単位:元/Kg) ──────────────────────────────── 年 ロース かた・もも ばら ──────────────────────────────── 1990 170.47 118.34 102.78 1991 156.01 106.67 99.93 1992 157.12 106.40 101.04 1993 157.73 110.16 104.93 1994 158.31 114.42 107.41 1995 160.80 120.35 112.09 ──────────────────────────────── 資料:台湾省政府農林庁「台湾農産物価格與成本統計月報」

● 正肉に匹敵する内臓類の小売価格


 台湾では、 食文化、 食習慣の伝統から内臓類の人気が高く、 その価格も低廉で はない。 特に、 ガツ、 ハツ、 マメ、 タンにこの傾向が強い。 通常、 最も高価であ るのはハツであり、 ロースより高価で、 かた・ももの倍程度の価格となっている。 さらに、 近年、 マメは、 かた・ももと同程度、 また、 ガツ及びタンは、 ばらと同 程度の価格となっている。 表:台湾主要都市における内臓類価格の推移                              (単位:元/Kg) ───────────────────────────────────── 年 ガツ ハツ マメ タン レバー ───────────────────────────────────── 1990 99.49 247.40 106.32 92.41 25.45 1991 89.04 249.76 108.69 88.56 25.64 1992 89.85 250.21 109.53 89.96 25.44 1993 95.53 227.61 113.98 92.63 28.09 1994 101.77 219.54 115.10 94.95 26.20 1995 107.94 217.90 132.79 97.21 28.41 ─────────────────────────────────────

● 内臓類の市場開放は台湾産豚肉の国際競争力に影響か


 このように、 台湾では、 諸外国で一般に低級な部位とされるばら及び内臓類の 人気が高く、 高価格となっているが、 見方を変えると、 このことが台湾産豚肉の 国際競争力を高めている要因の一つになっていると考えられる。  ちなみに、 現在、 同国では、 これらの品目は輸入が禁止となっているが、 同国 が将来的に世界貿易機関 (WTO) に加盟するとすれば、 いずれはこれらの品目に ついても市場を開放することが求められると考えられ、 このことは、 同国内にお ける豚肉の小売価格のみならず、 ひいては、 豚肉の国際競争力への影響もとりざ たされることになろう。
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