米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○価格動向について


● 子豚の生産者販売価格


 米農務省 (USDA) によると、 96年第1四半期の子豚の生産者販売価格 (40ポン ド〜50ポンドのもの、 ミズリー州南部地区の価格) は、 飼料価格の高騰による養 豚経営の生産意欲の減退で、 子豚の生産頭数が減少したことにより、 8.4%から1 3.0%前年同月を上回って推移した。 ただし、 第2四半期に入ると、 秋口の豚肉 需要の減少をみこした動きにより、 前年を下回る水準に低下した。  ちなみに、 1頭当たりの取引価格は、 6月に29.0ドルに値下がりするまで、 3 月の一時期を除き、 概ね30ドル台の前半で推移した。

● 肥育豚価格


 肥育豚生産者販売価格 (主要5市場平均) は、 前年同月を10.5%から55.8%も 上回り、 特に5月以降は、 100ポンド当たり50ドル台後半で推移した。 これは、96 年上半期の枝肉生産量が前年同期比4.4%で減少したこと、 日本への輸出量が基 準輸入価格の引き下げと輸入緊急措置 (SG) の解除により大幅に増加したこと、 また、 米国内のファスト・フード業界においてベーコン需要が増加したことによ るものとみられている。  一方、 穀物価格の高騰は、 肉豚肥育経営を圧迫し、 肥育豚価格が堅調に推移し ていたにもかかわらず、 繁殖豚の淘汰が進められた。 また、 高い飼料穀物を肉豚 に給与するよりも直接市場に販売したほうが優位なことから、 養豚経営そのもの を中止する農家も増加したといわれている。

● 卸売・小売り価格


 豚肉の卸売価格 (枝肉卸売価格ではなく、 各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉 に再構成した卸売指標価格) は、 好調を続ける需要と肉豚経営内容の悪化に伴う 供給の減少によって、 前年同月を10.7%から41.6%も上回る範囲で推移した。  ちなみに、 100ポンド当たりの卸売価格は、 特に5月以降は70ドルを超える水 準で推移している。  一方、 豚肉の平均小売価格は、 卸売価格の上昇に連動し、 前年同月を5.1%か ら17.9%上回って推移し、 年初には1ポンド当たり2ドル程度であったものが、 6月以降は、 2ドル20から30セント台で推移している。
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