EU議会、 BSE対策の審査を開始



● 初期段階での情報操作の有無が焦点に


 EU議会は、 このほど、 EU委員会およびEU農相理事会が今まで講じてきた一連の 牛海綿状脳症 (BSE) 対策が適正なものであったかどうかを審査するための、 臨 時委員会を設置した。  この委員会は、 EU加盟15カ国から直接選挙で選出されたEU議会議員626名のう ち19名から構成されており、 BSEが最初に発見された86年以降、 EU委員会および 農相理事会によって講じられてきた一連のBSE対策の是非について審査を行うこ ととなっている。  特に、 BSE問題が発生した初期の段階で、 ヒトの健康に影響するような潜在的 危険性に関して、 牛肉市場への影響を最小限にとどめるために意図的な情報操作 が行われていなかったかどうかが、 一つの焦点になっている。

● 農相理事会側は疑念を否定


 9月3日に開催された第1回目の臨時委員会には、 イェーツEU農相理事会議長 およびフィシュラー農業委員の2名が参考人として出席した。  この席上、 BSEが最初に発生してから90年に至るまでの間、 農相理事会およびE U委員会がBSEへの適切な対策を取らなかったという臨時委員会からの指摘に対し て、 イェーツ議長は 「当時の決定は科学獣医委員会の見解に基づくものであり、 その時点で、 BSEがヒトの健康に危険であるということは提起されていなかった」 と弁明するとともに、 BSEに関する情報操作を否定した。

● 歴代EU委員長や農業委員も招集


 一方、 フィシュラー農業委員は、 BSE感染牛に対する現行のとう汰計画が続け られなくても、 2001年までにBSEは消滅する可能性が高いという最近の研究結果 を報告した後、 「EU委員会が今まで講じてきた一連のBSE対策は、 公衆衛生を常に 優先してきた。 その正当性については、 現在の科学知識を基準に測るのではなく、 当時の科学水準を考慮する必要がある」 と反論した。  臨時委員会は、 本年11月までに合計8回の開催が決定されているが、 今後、 シ ュタイヘン前農業委員、 マクシャリー元農業委員やドロール前EU委員長らも参考 人として呼ばれることが予定されており、 EUの政策判断の正当性が大きく問われ ることとなった。
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