95年畜産物生産者価格、 前年比4%の低下 (EU)



● 農産物全体で0.3%の伸び


 EU統計局によると、 EUの95年農産物生産者価格指数 (インフレ調整後、 以下同 じ) は、 前年に引き続き安定的に推移し、 前年比+0.3%と、 わずかながらの上 昇となった。  品目別にみると、 耕種部門では、 穀物が前年よりわずかに低下したものの、 ワ インやオリーブ油などの品目が前年より10%以上上昇したのをはじめとして、 大 部分の品目で前年を上回った。 この結果、 耕種部門全体としては、 前年より4.7 %と、 昨年同様、 比較的大きな伸びを示した。

● 低下が続く畜産部門


 これとは逆に、 畜産部門は、 ここ数年と同様に、 ほとんどの畜種で前年より低 下した。 なかでも、 肉牛 (−10.3%)、 卵 (−9.4%)、 家きん類 (−8.6%)、 子 牛 (−4.6%) の落ち込み幅が大きく、 特に肉牛については牛海綿状脳症 (BSE) が世界的な大問題となる以前の時期であったにもかかわらず、 畜産物の中では最 大の下落を示した。 また、 生乳も−2.0%と小幅ながら前年を下回った。  一方、 肉豚は、 93年に対前年比−23.3%という記録的な落ち込みを記録したが、 94年には回復に転じ (+1.3%)、 95年は前年を4.1%上回った。  この結果畜産物全体では、 前年より3.8%の低下となり、 90年以降連続して前 年を下回ったが、 この一因としては、 共通農業政策 (CAP) の改革による支持価 格の引き下げが挙げられる。

● 新規加盟2カ国で大きな落ち込み


 農産物全体の価格指数を加盟国別にみると、 95年にEUに加盟したフィンランド (−26.3%) とオーストリア (−26.1%) の2カ国で大きく落ち込んだ。 これは、 この両国がEU加盟の直前まで高水準の農業保護政策を取っていたためである。 た だし、 これとは対照的に、 同時に加盟したスウェーデンについては、 既に加盟前 に農業政策の再編を実施していたことから、 低下幅は2.2%にとどまった。  その他の加盟国では、 ワイン、 オリーブ油、 果実などの価格上昇により、 スペ イン (前年比+6.0%)、 イタリア (同+4.0%) などの南欧諸国で農産物の価格 指数が前年を上回った。 また、 イギリスも同3%の上昇を示した。 ちなみに、 EU 統計局は、 これらの国々の農産物価格の上昇について、 EU共通通貨に対する各国 通貨の換算率が上昇したことも一因と分析している。
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