ミルクマークの生乳販売入札結果 (イギリス)



● 販売申込数量は、 前年を下回る


 イギリスの生乳集荷販売組織であるミルクマーク (MM) は、 96年10月以降の生 乳販売契約を取り決める入札を実施した。 MMの生乳販売入札は、 需要者の申込数 量とMM側の供給量を調整する必要がある場合には、 3回まで行われるが、 今回は、 第1回、 第2回の入札で、 ともに申込数量が供給予定数量を2割程度下回り (推 定180万トン)、 第3回目の入札でも供給予定数量を15%程度下回った (推定195 万トン)。  この結果、 契約に基づく1日当たりの平均配乳量は約1万5,400トンとなり、9 月以前の配乳量 (約1万8,900トン) を18%下回ることとなった。

● 落札価格は、 前年同期とほぼ同水準


 契約区分ごとの落札価格は、 MMが入札のつど公表することとなっているが、 第 1回目の入札から申込数量が供給予定数量を下回っていたため、 順次引き下げら れ、 実際の契約価格となる第3回目の入札においては、 前年同期の落札価格とほ ぼ同水準となった。  しかしながら、 平均販売価格は、 申込数量が安価な契約区分 (変動供給など) に集中したため、 前年同期の平均販売価格を下回る25.8ペンス (約46円/リット ル) 程度になったとみられている。  また、 今回の入札で不落札になった生乳については、 今後スポット市場で販売 されることとなる。 現在のところ、 スポット市場価格は、 今回の落札価格を下回 る25ペンス/リットル程度になるとみられている。 《MMの生乳販売落札価格》 ────────────────────────────────────── 契約区分 95年 96年 96年7月〜8月  7月 2月 (1回) (2回) 3回 備   考       ────────────────────────────────────── 〈市場(需要者)主導型契約〉(ペンス/リットル) Premier(プレミアムサービス)27.5 28.0 28.0 27.3 27.1 配乳量の変動幅が小さく、 曜日指定などが行える。 Flat (定時定量) 27.0 27.7 27.7 27.1 26.9 配乳量が、固定されている。 Ex-farm(生産元指定) 26.8 27.5 27.5 26.9 26.7 生産元を指定できる。 〈供給(MM)主導型契約〉 Balanc.(均衡供給) 26.3 27.2 27.0 26.7 26.4 配乳量の変動幅が、小さい。 Fluct. (変動供給) 25.1 26.0 26.2 26.0 25.6 均衡供給よりも、変動幅が 大きい。 ────────────────────────────────────── 平均販売価格 26.2 27.0 26.3 26.1 25.8 ────────────────────────────────────── 注:平均販売価格は推定

● 公正取引委員会が、 入札方法の改善を勧告


 MMは、 国内の生乳需給が緩和し、 また、 販売価格決定の重要な要素であるポン ドのグリーンレートが切り上げられるなど厳しい条件が見られる中にあって、 あ えて第1回目の入札では、 販売価格を、 本年2月と同様の高水準に設定した。  これに対し、 公正取引委員会は、 その価格設定の不透明性を指摘し、 MMに対し て、 その改善が行われなければ審査に付すとの勧告を行った。 この勧告は、 入札 結果にも大きな影響をもたらしたものとみられる。  一方、 MMは、 当該勧告を受けて、 来年4月から、 申込数量が供給予定数量の90 %未満の場合、 次の入札では販売価格を引き下げ、 また契約区分ごとの販売数量 をあらかじめ公表するなど、 入札方法を改善することを決定したため、 現在のと ころ正式な審査は見合わせられている。 しかしながら、 公正取引委員会は、 必要 に応じ、 再度検討を行うとしており、 イギリス最大の生乳供給団体による生乳販 売の方法については、 今後も議論を呼ぶとみられている。
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