酪農業界の再編の動きが活発化 (NZ)



● 過去にも大規模な業界再編を経験


 ニュージーランドの酪農業界で、 現在、 再編の動きが活発化している。  同国の乳業メーカー数は、 1920〜30年代には500以上あったものが、 吸収・合 併が進められたことにより、 60年には100、 80年代後半には20余りに急減した。 現在は15となっているが、 最近になって、 再び合併の動きが進んでいる。  なお、 ニュージーランドの乳業メーカーはすべて協同組合組織であり、 組合員 である酪農家がその株主となっている。

● トップ2社で生乳の8割を処理


 今回の動きを具体的にみると、 まず、 北島南部にあって、 互いに隣接するニュ ージーランド第2位のキウィ社と第4位のトゥイ社の合併計画が挙げられる。 両 社の合併計画は、 8月中旬のトゥイ社の臨時株主総会でいったん否決されたが、 再交渉の結果、 9月末に合意が成立した模様である。  この合併により、 両社の生乳処理シェアの合計はニュージーランド全体の約3 割となり、 これまで圧倒的な生乳処理シェア (4割強) を誇ってきた最大のニュ ージーランド・デーリー・グループとの2強時代が到来することが予想されてい る。  一方で、 ニュージーランド・デーリー・グループも、 北島中部で同グループに 隣接するベイ・ミルク社 (シェア第5位) 及び小規模メーカーのイースト・タマ キ酪農協と合併交渉を開始したと伝えられている。 この合併が実現すれば、 ニュ ージーランドの生乳の5割を処理する巨大メーカーが誕生することになる。

● NZDBの改革が今回の背景


 今回、 再び業界再編の動きが活発化している背景には、 ニュージーランドの乳 製品輸出を一元的に管理しているニュージーランド・デーリー・ボード (NZDB) の組織体制や活動内容等を規定するデーリー・ボード法の改正案が国会で審議さ れていることがある。  改正案には、 NZDBの組織体制を明確にするため、 酪農家が乳業メーカーを通じ てNZDBの株主となることに加え、 NZDBの活動等に対する株主権限を強化すること などが盛り込まれている。  このため、 中小メーカーは、 法改正によりNZDBが株式会社形態となった場合、 ニュージーランド・デーリー・グループのような巨大メーカーの発言力が強化し、 ひいては業界全体の支配につながることを強く懸念している。 このことが、 現在 のような 「中」 同士の 「大」 へ向けた動き、 「小」 の 「大」 への接近などの動き につながっていると考えられる。  デーリー・ボード法の改正案の可決の可能性や、 その時期についてはまだ不透 明なままであるが、 業界関係者は、 今後も、 生き残りをかけた大型の合併が続い て起こる可能性があると指摘している。
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