96/97年度の穀物生産は好調の見通し (豪州)



● 史上第2位の生産量を予想


 豪州農業資源経済局 (ABARE) の発表した96/97年度の穀物生産見通しによる と、 主要作物である小麦の生産量は、 前年度比11%増の1,880万トン、 大麦は同 4%増の570万トンになると見込まれている。  小麦、 大麦等の冬作穀物は、 豪州北部から順次、 収穫期を迎えるが、 収穫期ま で平年レベルの降雨量が確保されれば、 全体の生産量は2,866万トンに達し、 83 /84年に次ぐ史上第2位の水準になるものと見込まれている。

● 天候要因と穀物好況が背景


 増産見通しの理由として、 ABAREは、 全般に生育期を通じて適度の降雨に恵ま れたため、 作付面積が増加したことを挙げている。 ちなみに、 小麦の作付面積は 昨年度比14%増の1,110万ヘクタール、 大麦の作付面積は同6%増の339万ヘクタ ールとなった。  一方、 最近の穀物好況と羊毛市況の低迷という経済的な要因も考慮する必要が ある。 豪州の穀物生産地帯の多くは、 同時に主要な羊の飼養地帯でもあり、 両者 の相対的な市況状況により、 羊の放牧地が穀物の耕作地に転換されたり、 また、 その逆となったりすることが多い。 90年代に入り、 羊の飼養頭数は羊毛市況の低 迷を背景に減少傾向で推移する一方、 穀物の作付面積は増加傾向で推移している。

● 価格は国内外で低下の予想


 一方、 穀物の価格水準は、 全般的な穀物需給の緩和を背景に、 前年を下回るも のと予想されている。 ABAREによると、 小麦については国際価格が前年を12%、 国内価格が同7%下回るほか、 その他の穀物価格についても相当低下するものと 見込まれている。 このため、 穀物農家の現金収入は、 前年比23%減の約12万豪ド ル (約1千万円)、 所得は30%減の約6万7千豪ドル (約580万円) になるものと 予想されている。  ところで、 穀物生産量の増加と価格低下の見通しは、 肉牛フィードロット産業 関係者にとって明るい材料の1つである。 しかしながら、 穀物価格は低下すると はいえ、 依然としてかなりの高水準にあり、 経営環境の改善に大きく貢献するこ とは難しいものとみられている。
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