バーモント州、 bSTに関する表示規則の廃止を決定 (米国)



● bST認可後も表示問題に関心


 米国では、 乳牛の泌乳量を10〜15%程度増加させるとされるbST (牛成長ホル モン) の販売・使用が94年2月から開始されており、 現在、 乳牛全体の約10%程 度に投与されていると推計されている。  bSTの製造販売を認可した連邦食品医薬品局 (FDA) は、 bSTホルモンは通常の 牛の生理過程においても生成されるもので、 bSTについても人体に悪影響はない としており、 これを投与された牛の生乳から製造された牛乳・乳製品に関して特 別な表示を行う必要はないとの立場を取っている。  しかしながら、 bSTに関連した表示の問題については、 bSTの販売・使用開始の 当初から乳業会社や一部の消費者グループなどが大きな関心を示していた。

● バーモント州がbSTに関する表示規則を制定


 こうした関心を背景として、 いくつかの州において、 bSTに関する表示規則が 検討されたが、 バーモント州では、 他州に先駆けて、 95年9月に、 bST関連製品 に、 その旨の表示を義務付ける規則を施行した。  当該規則では、 具体的な表示の方法として、 いくつかの選択肢が認められたが、 実際には、 多くの場合、 小売店の販売ケースやプライスカードに三つの青い点に よる特別な印を表示し、 その印の意味を説明する掲示を行うという方法が採用さ れていた。

● 連邦地裁が当該表示規則の廃止を指示


 これに対し、 乳業会社の業界団体である国際乳製品協会 (IDFA) 等は、 表示自 体が不要であるとの基本的な考えから、 当該表示規則の廃止を求めて裁判所に提 訴を行っていた。  これを受けたバーモント連邦地方裁判所は、 この程、 IDFAなどの主張を認め、 bSTに関する表示規則の廃止を求める裁定を下した。 その内容は、 bSTが投与され た牛の生乳から製造された牛乳・乳製品と、 それ以外のものとの相違を明らかに することができない以上、 これらを区分して販売させることを正当化することは できないとのものであった。

● 州政府は控訴せず廃止が決定


 バーモント州政府は、 既に、 この問題について、 これ以上裁判で争うことを断 念するとの方針を表明している。 このため、 bSTに関する表示規則は、 廃止され ることが決定された。  これについて、 IDFAのティプトン会長は、 「今回の裁決は、 他州で検討されて いるbSTに関する表示規則の制定の動きを終息させる契機となるだろう」 とその 意義を評価している。
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