3大パッカーの市場占有率が低下の兆し (米国)



● 肉牛価格低迷で3大パッカーへの不信が強まる


 現在、 米国の肉牛経営は、 肉牛価格の低迷などにより厳しい状況下にあるが、 その中で肉牛生産者は、 パッカーの寡占化によって肉牛の取引化価格が不当に引 き下げられているとの不満を強めている。  ところが、 先に行われた米農務省の調査結果では、 パッカーの寡占化の進行を 認めつつも、 パッカーによる価格操作等の違法行為の証拠は見当たらないとの報 告がなされた。 また、 その後に設けられた諮問委員会においても、 寡占化の状況 に対する反トラスト法などの関連法令適用の点検、 肉牛取引情報公開規則などの 改善、 および垂直的な業務提携の仕組みの改善などの提言がなされるにとどまっ た。

● 3大パッカーの市場占有率がわずかに低下


 今回調査会社のCBW社が実施した調査 (一部推計を含む。 ) によると、 3大パ ッカー (IBP、 コナグラ (モンフォート)、 エクセル) の95年の年間肉牛処理頭数 は約2,257万頭で、 前年より約3.4%増加したものの、 これらの米国の商業と畜全 体に対する市場占有率は、 前年の63.8%から0.6%減少し、 63.2%となった。  また、 このうち、 去勢牛などのと畜における市場占有率については、 同74.4% と、 前年より1.8%減少する結果となった。  このように市場占有率が低下した原因として、 CBW社は、 3大パッカー以外の パッカーが肉牛処理能力を拡大し、 その増加率において3大パッカーをしのいだ ことが一因であるとしている。  ちなみに、 95年の全米の肉牛と畜頭数は、 3,549万頭と、 対前年比3.8%の増加 となった。 3大パッカーの市場占有率(%)  以上のように、 95年には、 3大パッカーによる寡占化の状況に若干の変化がみ られたものの、 3大パッカーの市場占有率は依然として高く、 寡占化が肉牛取引 価格に及ぼす影響に関する肉牛生産者の不信感は、 容易にぬぐい去られるもので はないと思われる。
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