◇絵でみる需給動向◇
AMLC (豪州食肉畜産公社) は、 この度、 2000年までの肉用牛飼養頭数等の予測 を明らかにした。 これによると、 96年3月末の飼養頭数は2, 650万頭で、 前年同 期と比較すると3%の増加となった。 この増加要因としては、 90年代当初から継 続した干ばつが収息したこと、 また、 クイーンズランド州を中心とする北部地域 で、 東南アジア向けの生体牛輸出が盛んとなり、 輸出用肥育素牛の生産意欲が高 まってきていることなどが挙げられている。 AMLCによると、 飼養頭数は、 97年も 増加基調で推移するものの、 生体牛の輸出が引き続き増大することによって飼養 頭数の伸びが一時的に抑制されるため、 対前年比1%増の2, 680万頭に止まると 予測されている。 なお、 98年以降は、 わが国や、 牛肉生産が下降に向かう米国、 ウルグアイ・ラ ウンド合意により輸入枠が年々拡大する韓国など主要輸出相手先への輸出の増加 により肉牛・牛肉市況が好転するとみられることから、 豪州の牛群拡大にも弾み が付き、 2000年には2, 810万頭に達すると予測されている。
次にと畜動向について見ると、 96年は、 前年比4%減の 662万頭となった。 こ れは、 近年、 生体での輸出の増加が顕著で あることを反映したものであり、 同年の生体牛輸出頭数は、 前年比42%増の72万 3千頭となった。 特に、 輸出向けの素牛生産地域であるクイーンズランド州のと 畜頭数は15%も減少したが、 それに対して、 他の州のと畜頭数は、 前年とほぼ同 等であった。 しかしながら、 生体牛輸出の伸びも97年以降は鈍化すると見られ、 と畜頭数に 及ぼす影響は次第に弱まるとみられることから、 と畜頭数は、 2000年には740万 頭に増加すると予測されている。
また、 96年の牛肉生産量は、 生体牛輸出が増加したことおよび主要な輸出市場 であるわが国、 米国で牛肉需要が低迷したことから、 164万トンと、 前年を5% 割り込む低い水準に止まった。 しかしながら、 97年以降は、 飼養頭数の増加とと もに、 わが国や米国への輸出が伸びるとみられており、 2000年には186万トンの 生産が見込まれている。 なお、 全体的な飼養頭数の増加により、 フィードロットへの肥育素牛の導入が 容易になることから、 97年3月の認定フィードロット飼養頭数調査予測では、 底 を打ったとされる96年9月調査時点より22%増加の約40万頭が見込まれている。 また、 穀物肥育牛の飼養頭数の増加により、 平均枝肉重量も増加し、 96年の242K gから、 2000年には246Kgになると予測されており、 その面でも牛肉生産量の拡大 に貢献するものとみられている。
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