◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) によると、 96年の牛肉の輸出量は、 前年比3. 2%、 2万6千 トン増加し、 85万1,9 40トン (枝肉ベース) となった。 輸出量を相手国別にみると、 最大の相手先である日本向けは、 1. 1%、 5千ト ン増加の46万1千トン (米国からの輸出に占める割合は54%) となった。 また、 カナダ向けは、 同国が国内のと畜処理能力の向上によりネットの輸入国から輸出 国へ転換したことから5. 3%、 8千トン減少し、 13万4千トン (同16%) に、 さ らに、 メキシコ向けは、 同国の経済が回復したことから86.6%、 3万6千トン増 加し、 7万8千トン (同9%) 、 韓国向けは、 同国で牛海綿状脳症の影響による 輸入牛肉のイメージダウンが起こったことから25.1%、 3万1千トン減少し、 9 万2千トン (同11%) となった。
一方、 96年の米国の牛肉輸出を上半期と下半期に分けてみると、 上半期が前年 度同期比127. 6%と大幅に増加したのに対して、 下半期が同79.2%とかなり大き く減少した。 これは、 最大シェアを占める対日輸出の減少に負うところが大きい。 米国の対 日輸出は、 上半期には前年同月比2〜60%上回り好調であったが、 7月以降は、 輸入の緊急措置 (セーフガード) の発動や夏に病原性大腸菌O−157問題が発生し たことなどか ら、 前年同月水準を下回った。
2月下旬に行われたUSDA主催の農業観測会議の席上で、 米国食肉輸出連合会(U SMEF)は、 97年の牛肉 (製品ベース:内蔵を含む) の輸出量を117万トンとすると ともに、 そしてこのうち、 日本向け輸出量は前年比13%増の61万6千トンになる との見通しを発表した。 その他の国別内訳は、 カナダ向けが6%増の11万5千ト ン、 メキシコ向けが19%増の10万トン、 韓国向けが25%増の10万トンになると見 込んでいる。 日本への輸出量を強気に予測しているのは、 病原性大腸菌O−157問題による需 要減退の終息や米国内の食肉価格が安値で推移することが見込めるためである。 なお、 USMEFは、 安全性を前面に打ち出したキャンペーンをさらに強化し、日本国 内の需要の拡大を図るとしている。
一方、 牛肉の96年の輸入量は、 前年比1. 5%、 1万4, 197トン減少し、 93万9, 917トン (枝肉ベース) となった。 輸入される牛肉は、 主にハンバーガー用の引 き材として使用されるが、 国内の牛肉価格が生産増を背景として低価格で推移し たことや、 国内の経産牛のと畜が増加したことが、 輸入量を減少させた大きな要 因であるといえる。 輸入相手国先では、 今まで1位、 2位となっていたオーストラリア、 ニュージ ーランドに代わって、 カナダからの輸入が第1位となり、 オーストラリアとニュ ージーランドからの輸入量は、 前年と比べて、 それぞれ18. 7%、 13. 1%とかな り大きく減少している。 なお、 カナダからの輸入量の増加は、 と畜加工処理能力 の向上や関税率の低下により、 かつて生体で輸出されていたものの一部が、 牛肉 での輸出に変わったためであると考えられる。
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