タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○鶏肉需給及び飼料原料輸入政策の動向



ブロイラー生産が増加に転ずる


 タイ農業協同組合省が公表した統計によると、 96年のブロイラーの生産羽数は、 
対前年比8. 9%増の687. 1百万羽となった。 同国のブロイラー生産羽数は、 92年
の725, 6百万羽を頂点に、 年々減少を続けていたが、 昨年は、 一転して増加傾向
になったこととなる。 この背景には、 日本向け冷凍鶏肉の輸出が相変わらず伸び
悩む中にあって、 EU向け輸出及び鶏肉調整品の輸出が順調に増加していることや、 
国内の鶏肉需要が継続的に伸びていることがあると見られている。 

トウモロコシへの低率関税の適用を先送り


 一方、 畜産関係5団体 (養鶏振興協会、 ブロイラー加工輸出業者協会、 飼料業
者協会、 養豚業者協会、 アヒル取引業者協会) は、 増加する国内飼料需要に対応
するべく、 商業大臣に対し、 トウモロコシの低率関税の適用を早急に実施するよ
う、 強く要求している。 

 97年の飼料原料輸入政策に関しては、 昨年10月15日の閣議において、 国内生産
者保護のための制度を設けた上で、 関税割当制を廃止し、 一律に低率関税を適用
することが決定されている。 この決定に対し、 養豚、 養鶏などの畜産業界は、 生
産コストの削減に繋がるものとして、 歓迎の意を表していた。 ちなみに、 トウモ
ロコシの輸入に関しては、 適用期間を国内産の端境期に当たる2月20日から6月
30日までに限った上で、 国内産の価格がキロ当たり4. 5バーツ以上となった場合、 
0%の低率関税が適用されることとなった。 

 しかし、 96/97年において、 国内産トウモロコシが豊作であったことから、 昨
年10月以降、 トウモロコシの価格が低迷している。 このため、 政府は、 トウモロ
コシの価格支持を行うとともに、 国内産の売渡しが完了するまで低率関税の適用
を遅らせること、 適用開始期日を商業大臣に一任することを、 適用開始予定日の
迫った1月中旬になって決定した。 

先行き不透明な飼料原料輸入政策


 ただし、 飼料業者協会によると、 現在、 端境期に入った国内産トウモロコシだ
けでは、 増加する国内の飼料需要を十分には賄えない状況にあり、 これに対応す
るためには、 今年、 少なくとも40万トンの輸入が必要であるとしている (前年輸
入実績は28万トン) 。 実際、 トウモロコシ価格は、 その主張を裏打ちするかのご
とく、 徐々に上昇しており、 3月現在、 キロ当たり4. 2〜4. 3バーツ程度で取り
引きされている。 このため、 一部では、 低率関税の適用開始は時間の問題との見
方もなされている。 

 このように、 昨年までの関税割当制度が、 一転して廃止されることとなったタ
イの飼料原料輸入政策であるが、 この決定が前政権下で行われたこともあって、 
実際の政策執行に当たっては不透明な部分も多く、 今後も紆余曲折があると見ら
れている。 


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