米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○ブロイラーの生産動向



97年第1四半期生産量は前年並み水準


 米農務省 (USDA) によると、 97年第1四半期のブロイラー生産量 (可食重要ベ
ース、 骨付き) は、 前年同期とほぼ同じ水準の299万4千トンとなった。 

 ブロイラー生産量は、 過去20年来、 国内、 海外の需要に支えられて、 ほぼ一貫
して拡大傾向が続いていたが、 97年に入ってからは海外需要が低調なこともあり、 
若干縮小に転じていた。 しかし、 3月のブロイラー生産量 (可食重量ベース、 骨
付き) が、 前年同月に比べて3. 5%の増加となったことから、 第1四半期でみる
と前年水準を維持する結果となった。 

ひな導入羽数は増加傾向を示す


 USDAが公表しているひな導入羽数は、 今後のブロイラー生産の動向を占う指標
となる。 これによると、 96年には飼料穀物価格高騰の影響を受けて導入羽数が前
年水準を下回った月もあったが、 飼料価格の低下とともに増加し、 97年に入って
からは、 前年を上回って推移している。 この結果、 97年第1四半期の主要15州に
おけるひな導入羽数は、 前年同期に比べて平均で2. 6%の増加となり、 直近の4
月第1週では、 前年の同週に比べて5. 1%増加した。 これらのひなは、 今春以降
に鶏肉に処理されることになるため、 今後のブロイラー生産量は、 継続的な増加
が見込まれることとなる。 ちなみに、 96年の第4四半期のひな導入羽数は、 ほぼ
前年同期の水準であった。 

 

収益増が増産を導く


 ブロイラーの増産を導く主な要因としては、 好調な卸売価格が挙げられる。 

 97年第1四半期平均のブロイラー丸どり卸売価格 (中抜き、 12都市平均) は、 
前年同期比6. 5%増の59. 8セント/ポンドとなった。 丸どり卸売価格は、 近年、 
値上がり傾向にあり、 かつ、 飼料穀物価格の値下がりにより生産コストが低下し
たことから収益が向上し、 生産者の増羽意欲が高まったと考えられる。 

 生産者の純利益 (加工業者段階、 以下同じ) を見ると、 96年3月はロシア向け
輸出の停止などから一時赤字に転じたものの、 その後は黒字が続いている。 97年
第1四半期の純利益も、 平均で7.7セント/ポンドとなり、 前年同期比では183.6
%の大幅な増益となった。 

 

輸出不振が生産に与える影響を懸念


 過去一貫して増加傾向にあった鶏肉輸出であるが、 このところは、 主力のロシ
ア、 中国向けが低迷している。 このうち、 ロシアについては、 関税の徴収手続き
を巡って混乱を生じたため、 また、 中国については、 動植物検疫当局が、 衛生規
則に反するとみた一部の船荷を止めたため、 それぞれ輸入が停滞しているとされ
ている。 これらは、 いわゆる輸出禁止措置ではないので、 徐々にではあるが輸入
が行われ、 国内に流通している模様である。 しかしながら、 ロシア、 中国向けは、 
併せて輸出全体の約6割を占めていることから、 両国への輸出不振は、 ブロイラ
ー関係者にとって重要な関心事項である。 今後、 こうした貿易障壁がブロイラー
生産に与える影響が懸念されている。 


元のページに戻る