世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○大豆、 トウモロコシの作付面積が増加の見込み



大豆は予想を上回る伸び率


 米国では、 昨年施行された96年農業法で穀物等の作付けが自由化されたため、 
今春の作付けにどのような影響が及ぶか注目されていた。 こうした中で、 米農務
省 (USDA) は、 3月末、 本年第1回目の品目別作付面積見込みを公表した。 

 これによると、 大豆の作付面積が、 関係者の予測を約3百万エーカーも上回り、 
68. 8百万エーカー (対前年比7.2%増) になると見込まれた。 これは、 80年以来
の最大の作付面積であり、 関係者に少なからぬ衝撃を与えている。 ちなみに、 大
豆の作付面積が3百万エーカー増加すると、 収穫量は約120百万ブッシェル(年間
生産量の約5%相当) 増加する。 このため、 97/98年度の供給は大幅に増加する
こととなり、 大豆の国際需給のひっ迫を懸念する需要者には朗報となった。 

小麦から大豆・トウモロコシにシフト


 また、 USDAは、 トウモロコシの作付面積についても、 予測を約0. 4百万エーカ
ー上回る、 81. 4百万ヘクタール (前年比2.4%増) になると見込んでいる。 これ
も、 85年以来の最大の作付面積となる。 

 一方、 デュラム小麦を除く春蒔き小麦の作付面積は、 予測を1. 2百万エーカー
下回る17. 8百万エーカー (対前年比11. 3%減) になると見込まれている。 この
ことは、 特に北部平原地域を中心に、 小麦から大豆・トウモロコシへと作付けが
シフトしていることを示している。 生産者が今秋収穫前の大豆等の供給不足を見
込んでいるためと見られるが、 主産地の悪天候がこの動きに拍車をかけたとも言
われている。 

米国の主要作物の作付面積見込み

 資料:USDA「Planning Report」

 

生産者は価格動向を注視


 また、 USDAが同時に公表した在庫調査報告によると、 今年3月1日時点におい
て、 大豆在庫は予測を16百万ブッシェル下回る1, 078百万ブッシェル、 トウモロ
コシ在庫も予測を76百万ブッシェル下回る4, 494百万ブッシェルになったとされ
た。 

 このうち、 大豆在庫については、 これまでの需給動向から、 今秋収穫前にかけ
て記録的な低水準に落ち込むことが予想されている。 また、 トウモロコシ在庫が
予想を下回ったことは、 飼料向けを中心とする内外の需要が依然として活発であ
ることを示している。 

 このため、 大豆・トウモロコシの先物価格は、 今秋収穫前の取引価格が強含み
に推移する一方で、 収穫以後の取引相場は一転して弱含みとなるなど、 昨年のト
ウモロコシ相場と同様に、 不安定な値動きを示している。 

 今後、 生産者は、 作付時期の気象条件及び今後の価格動向を相互に勘案しつつ、 
実際に作付けを行うこととなる。 このため、 当分の間は、 作付動向から目が離せ
ない状況が続くと思われる。 


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