米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


米国の乳製品生産、輸出動向



業務用需要の増加に支えられてチーズ生産は増加


 米農務省 (USDA) は、 96年には、 全生乳生産量のおよそ6割が乳製品の生産に
仕向けられたと報告している。 

 同年の主要乳製品の生産量をみると、 チーズの生産量が、 宅配ピザやファスト
フードなどの業務用需要の増加により価格が堅調であったことから、 前年比で4. 
1%増加し、 325万トン (カッテージチーズを除く) となった。 ただし、 その他の
主要乳製品の生産量については、 原料乳がチーズ生産に多く仕向けられたことか
ら、 いずれも前年を大きく下回った。 バターの生産量が前年比7. 6%減少し52万
9千トンに、 脱脂粉乳は同14. 4%減少し47万9千トンに、 また全粉乳は同23. 1
%減少し6万トンとなった。 

バター、 脱脂粉乳等の輸出は低調


 96年1月から10月までの主要乳製品の輸出をみると、 国内の生産の増加に触発
されて、 チーズ (カードを含む) の輸出が26, 921トンと前年同期比で11. 1%増
加した。 これに対して、 バター、 脱脂粉乳の輸出は、 生産量の減少と国内価格の
上昇により、 前年と比べて大幅に減少し、 バターは前年同期比44.9%減少の19,9
70トンに、 また、 脱脂粉乳は同68. 7%減少の17, 182トンとなった。 なお生産量
が少ないことから、 チーズ向け原料乳の増加の影響を最も受けて大幅な減産とな
った全粉乳の輸出は、 同72. 8%減少し14, 401トンと激減した。 

◇グラフ:乳製品の輸出量◇

 

DEIPで乳製品輸出を補助


 米国産の乳製品は、 国際価格に比べて国内価格が高いことから、 国際競争力が
乏しい。 このため、 それらの輸出は、 輸出補助金ともいうべき乳製品輸出奨励計
画 (DEIP) に基づく補助金に支えられる要素が大きい。 DEIPは、 国際市場におい
て競争力のある価格で販売できるようにすることを目的として、 脱脂粉乳、 全粉
乳、 バター類、 チーズを補助対象としているが、 補助金が商品金融公社 (CCC) 
を通じて交付されることから、 国内在庫を調整する意味合いが込められている。 
なお、 USDAは、 ウルグアイ・ラウンド合意後は、 認められた輸出補助数量と輸出
補助金の範囲内で、 DEIPを最大に活用することを表明している。 

 昨年7月に発表されたDEIP (96年7月〜97年6月) では、 カリブ海諸国、 アフ
リカ・中東、 アジア・旧ソ連の3地域への輸出が対象とされ、 その品目別の内訳
は、 脱脂粉乳100,222トン、 全粉乳9,971トン、 バター類38,611トン、 各種チーズ 
(チェダー、 モツァレラ、 ゴーダ、 フェタ、 クリーム、 アメリカン・プロセスチ
ーズ) 3, 669トンとなっている。 

USDECが乳製品の輸出を促進


 なお、 乳製品の輸出を促進する目的で、 米国乳製品輸出協会 (USDEC) が設立
されており、 プロモーション活動を行っているが、 USDECの予算は、 生乳生産者
らから徴収される課徴金、 会員からの会費、 そして政府の3者からの供出によっ
てまかなわれている。 97年の予算構成は、 69%が課徴金から、 21%がUSDA海外農
業局 (FAS) から、 残りが会員からの会費となっており、 97年の予算は、 前年と
比べ8%増加し784万ドルとなった。 

 USDECは、 これらの予算を使い、 輸出の促進や国内での乳製品の販売促進や普
及啓蒙活動、 また、 海外、 特に日本やメキシコなどの市場調査や市場開発を行う
こととしている。 


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