食肉関係団体の再編案を発表 (豪州)



生産者による会社組織への改組


 アンダーソン第一次産業大臣は、 以前から議論が続けられてきた食肉関係期間 の改革問題について、 3月18日、 食肉産業評議会 (MIC) 、 豪州食肉畜産公社 (A MLC) 及び食肉研究公社 (MRC) を解散し、 その業務を引き継ぐ生産者による会社 組織の設立などを骨子とする改革、 再編案を発表した。 これによると、 新たな会 社組織は、 生産者からの拠出金 (強制的課徴金) を原資として設立され、 単一の (経営) ボードの下に、 研究開発部門、 品質管理部門、 牛肉マーケティング部門、 羊肉マーケティング部門の4つの部門を置く構想が示されている。 一方、 食肉加 工業者 (パッカーなど) 及び家畜輸出業者は、 これとは別に、 自主的な (任意の 課徴金を原資とした) 会社組織を設立し、 前者と協調して各種活動を実施するが、 活動に必要となる資金が不十分な場合には、 強制課徴金を再賦課するとされてい る。 さらに、 豪州食肉産業全体のための協調体制を確実なものとするため、 産業 内各セクターおよび政府間で覚書を交わすことも盛り込まれている。

牛と羊の組織を分離しなかった点に批判が集中


 今回発表された政府案の中で、 食肉関係者からもっとも大きな批判を浴びたの は、 ほとんどの関係団体が、 牛と羊の組織をそれぞれ独立させることを強く望ん でいたにもかかわらず、 この改革案では、 その意見が取り上げられなかった点で ある。 これに対して大臣は、 政府案発表時の声明の中で、 共同の研究開発による 相乗効果、 畜種別の組織とした場合に生じる、 各種の活動の重複を避けることに よってもたらされる財政面その他の効率化などを勘案し、 熟慮の上で単一組織と いう案にしたと述べている。

産業セクター別の新組織形態案


 今回の政府案に対しては、 肉牛生産者の中央団体である豪州肉牛生産者協会(C CA) は、 食肉関連業界機関として、 生産者の会社と加工業者の会社を分ける産業 セクター別のアプローチが効率的に機能するかどうかに懸念を表明しつつ、 この 政府案を慎重に受け止めるとの声明を発表した。  大臣は、 産業セクター別の組織とした理由について、 基本的に課徴金制度は、 それを望むものには適用し、 そうでないものには適用しないという方針であり、 大方の生産者が旧来の強制適用を望んだのに対して、 食肉業者が 「任意」 を望ん だことや、 食肉加工業界からは研究機構、 マーケティングなどは、 自己のニーズ により直接的に取り組みたいとの意向が示されたためとしている。

各セクターの利害調整が課題


 また、 政府案では、 食肉加工業界などが生産者とは別に自主的な組織を設置し、 生産者の組織と 「友好的提携関係」 の下、 強調して活動を実施するとしているが、 特に、 運営資金となる課徴金を、 生産者へは強制賦課、 加工業者は任意としてい る点は生産者サイドからの反発を招いている。  さらに、 家畜生産と食肉・加工は利害が一致しない分野も多く、 このような産 業セクター別のアプローチが効率的に機能するかどうか、 多くの関係者が懸念を 表明している。  いずれにしても、 畜種別、 産業セクター別、 さらには地域別にも関係者の思惑 は大きく異なり、 今後は、 細部調整の段階で、 それぞれの利益確保をめぐって、 激しい議論が行われることとなろう。
元のページに戻る