米・EU間の食肉等の検疫条件交渉が難航 (米国)



4月1日に交渉の決裂を発表


 米農務省 (USDA) のグリックマン長官は、 4月1日、 米国とEUの間で、 3年越 しで続けられてきた食肉等の検疫条件に関する交渉が合意に至らずに決裂したこ とを明らかにした。  決裂したことを明らかにした。 これに伴い、 EUは、 EU域外の国に対する域内統 一検疫条件の適用を同日付で実施したことから、 USDAは、 米国の農産物、 とりわ け食肉の輸出に影響が及ぶとして、 EUから輸入される食肉に対し、 米国の食肉検 査制度に基づく基準を適用する旨の対抗措置を発表した。

当面EUから米国への食肉輸出に影響大


 このうち、 米国からEUへの牛肉 (成長ホルモン使用に係る牛肉を除く) と豚肉 の輸出については、 先に、 米・EU間で締結された別途の合意により、 97年7月末 までは従来と同様の検疫条件で行うことができることになる。 一方、 鶏肉につい ては、 USDAがEU向けの輸出証明書を発行できなくなることから、 年間約7, 500ド ルに及ぶ米国の対EU鶏肉輸出に、 直ちに影響が出ることも予想される。  これに対して、 EU側では、 米国の対抗措置の発動によって、 約3億ドルに及ぶ 米国への食肉輸出に影響が出るものと見込まれている。

食鳥検査に大きな隔たりが


 今回の交渉は、 食肉、 鶏肉、 鶏卵、 乳製品などの畜産物や魚介類などについて、 (1)米国、 EUそれぞれにおける衛生基準の相互承認、 (2)伝染病等の疾病予防対策 としての地域主義原則の適用、 (3)衛生基準に関わる相互間の情報交換の改善策 等を議題として行われていた。  USDAは、 食肉・食鳥関係で、 (1)食鳥と体の汚染部分の除去方法およびと体の 冷却方法、(2)と畜された豚の健康状態を判断するための心臓検査実施の頻度、(3) 食肉加工場における木製パレットの使用禁止、 の三点について合意が得られなか ったことが、 交渉決裂の大きな要因であるとしているが、 なかでも、 食鳥検査に ついての両国の隔たりが、 特に大きかったとしている。  なお、 EUは、 同様の交渉を他の国とも行ってきたが、 すでにニュージーランド、 カナダとは実質的に合意に達しており、 オーストラリアとは現在交渉中である。

4月中旬に交渉を再開


 4月1日の交渉決裂後、 USDAの貿易問題専門官は、 早い時期の交渉再開に期待 するとのコメントを発表していたが、 その後、 4月第2週にはワシントンで交渉 が再開され、 4月10日には、 乳製品に関する合意が図られることになった。 当該 合意は4月1日に遡って適用されることになり、 乳製品の貿易には支障がなくな った。  しかし、 食鳥検査に関しては、 以前としてその隔たりが大きい。 全米ブロイラ ー協会等の食鳥産業界は、 EUの要求について、 科学的な根拠がなく、 我々に20年 前の水準に戻ることを要求していると強く反発しており、 今後の交渉の動向が注 目される。
元のページに戻る