USDA、 97年度のEQIP州別予算を発表 (米国)



農業生産に起因する環境汚染の防止が目的


 米農務省 (USDA) は、 96年4月に成立した96年農業法により新たに創設された、 環境改善奨励計画 (EQIP) の97年度の州別予算配分を発表した。  EQIPは、 契約農家に対し、 農業生産に起因する環境への悪影響を防止すること を狙いとして技術的に支援、 資金援助などを行う事業である。  96年10月に、 この計画の実施に関する規則案が提示され、 関係者からの意見聴 取が行われた。 現在、 USDAでは、 収拾した意見等の分析を行い、 4月に予定され ている最終規則の施行に向けての準備を進めている。

97年度は2億ドルの予算配分を予定


 EQIPの97年度事業予算の配分は、 全体で2億ドル(約240億円) が予定されてい るが、 今回の発表では、 暫定的に、 約1億7千万ドルが配分された。  USDAは、 残りの3千万ドルは、 今後の事業の進ちょく状況を検討したうえで、 技術援助の必要性などを勘案して再度配分するとしている。

最高配分額はテキサス州に


 USDAによると、 EQIPの予算配分額の算定に当たっては、 土壌、 水質、 野生生物 の生息地など26種類の環境保全対象項目について、 各々の評価システムを作成し、 これにより事業の必要度を州別にランク付けして行ったとしている。  EQIPの予算は、 州別に配分されたが、 もっとも配分額多かったのは、 テキサス 州で1, 370万ドル、 続いてカンサス州の665万ドル、 モンタナ州635万ドル、 ミネ ソタ州585万ドル、 コロラド州565万ドルなどとなっている。  また、 各州レベルにおいては、 事業を所管するUSDAの自然資源保全局 (NRCS) の州事務所と州環境保全技術委員会が、 特定の水域や環境保全必要度の高い地域 を事業の実施優先地域として認定し、 原則として、 それら優先地域を対象として 事業を実施することとなっている。

一戸当たり補助額は最高年間1万ドル


 EQIPにおいては、 USDAと5年から10年の環境改善に関する契約を結んだ農家が、 環境改善に関する技術的アドバイスを受けるなどの支援を得ることができる。 ま た、 併せて小規模農家と認定された農家は、 河川への土壌流出防止のための緩衝 草地帯の造成、 糞尿処理施設の設置などの事業に要する経費の一部補助を受ける ことができる。 生産者が受給できる補助金は、 年間1万ドル、 通算で5万ドルに 制限されているが、 補助率は必要経費の最高75%までとされている。  EQIPでは、 事業予算の2分の1を畜産関連の環境対策に配分しているが、 施設 の建設費用の一部を補助する事業はこれまであまり例がないことから、 畜産関係 の事業として具体的にどのようなものが実施されるのか注目されている。
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