◇絵でみる需給動向◇
タイ農業協同組合省が発表した統計によると、 3月のブロイラーの生産量は、 対前年同月比27.8%増の67.4百万羽と引き続き大幅な増加となった。 昨年6月に 増加に転じた生産量は、 同年9月以降、 前年同月比20%を超える大幅な増加で推 移している。 また、 3月のひなのふ化羽数も、 前年同月比27.8%増の70.2百万羽 となった。 ひなのふ化羽数が70百万羽の大台を超えたのは、 生産量がピークであ った93年10月以来で、 実に3年半ぶりである。 このため、 今後の生産量は、 引き 続き増加が見込まれている。
タイブロイラー加工輸出業者協会が公表した97年第1四半期の鶏肉輸出数量は、 鶏肉及び鶏肉調製品の合計で前年同期比11.5%増の40,885トンとなり、 業界にと って満足のできる実績となった。 そのうち、 これまで減少が続いていた冷凍鶏肉 の輸出数量は、 日本向けが僅かに減少したものの、 昨年から引き続くEU向け輸出 数量の大幅な増加 (前年同期比162.9%) により、 前年同期比9.9%増の34,001ト ンとなり、 かなり好調となった。 これにより、 タイからEU向への輸出シェアーは、 冷凍鶏肉の輸出数量のほぼ25% (前年同期は16.2%) を占めるに至っている。 逆 に、 日本向けシェアーは、 66.5% (同74.3%) へと低下している。 また、 鶏肉調製品は、 前年に引き続き日本向けの輸出が好調であったことから、 前年同期比19.9%増の6,884トンとなった。日本向けの輸出シェアーは87.3%から 90.6%となり、 日本市場への輸出依存度が益々顕著となっている。 一方、 97年第1四半期の鶏肉の消費量は、 経済の低迷にもかかわらず、 ファス トフードなどの外食企業の拡大により、 大幅に増加している。 当事務所の推計に よると、 同期の消費数量は、 前年同期比約32.9%増、184,988トンと見込まれてい る。 今後も増加する国内生産に対し、 堅調な消費が見込まれることから、 近い将来 の需給は、 これまでの輸出中心から、 国内需要の拡大に目を向けた需給構造に変 化していくのではないかと推測される。 タイにおける鶏肉の需給 資料:タイ農業協同組合省統計、タイブロイラー加工輸出業者協会 注)1 生産量は、可食部分肉数量である。 2 鶏肉調整品の輸出数量は、実績値とした。 3 在庫数量は、一定として試算から除外した。 4 消費数量は、当事務所の推定による。
7月2日にタイの通貨バーツが変動相場制に移行したことに伴い、 タイバーツ の為替相場が徐々に下落している。 6月23日までの相場 (対顧客電信売相場;東 京三菱銀行) は、 5円/バーツ前後で推移していたが、 24日以降下げ足を早め、 7月4日には3.98円/1バーツとなり、 大幅に下落した。 今後の為替相場は予測 しがたいが、 このようなタイバーツ安が、 今後の鶏肉輸出産業にどのような恩恵 又は影響をもたらすかについて、 注視する必要がある。
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