EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


全粉乳の生産量が顕著に増加


● 97年1〜3月は前年同期比6.1%の増加


 97年1〜3月の牛乳・乳製品の生産動向をみると、 90年代に入って着実な増産
傾向にあった飲用乳がほぼ横ばいの777万9千トン、 また、 チーズが前年同期比0.
8%減の142万2千トンと、 いずれも低調となった。 近年生産が減少ぎみであるバ
ターは、 3.2%減の41万1千トン、 また、 脱脂粉乳は1.5%減の25万9千トンとな
り、 引き続き減少傾向が続いている。 これに対して、 近年伸びが著しい全粉乳は、 
21万9千トンと前年同期比6.1%増と目立った伸びを示した。 

 他の主要乳製品の生産が停滞もしくは減少する中で、 全粉乳が順調に増加して
いるのは、 乳業メーカーが、 需要が減退ぎみであるバター、脱脂粉乳などから、輸
出需要が強い全粉乳に生産をシフトしたことに起因するものと考えられる。 

牛乳・乳製品の生産状況(97年1〜3月)

 資料:ZMP
 (注)1 生産量は暫定値
    2 前年同期比は、閏年調整後の増減率

● フランスでは2割近くの生産増


 一方、 国別の全粉乳生産量をみると、EU全体の3割弱を占めるフランスでは、1
〜3月の生産量が前年同期比18.8%増と大きな伸びを記録した。 その他では、 オ
ランダが8.6%増、 ドイツが5.6%増など、 主要生産国ではいずれも生産増がみら
れた。 

 また、 全粉乳の月別生産量は、 97年1月が前年同月比8.0%増、 2月が1.2%増、 
3月が10.8%増と、 増産ペースの変動が大きかったが、 4〜5月の生産量は、 6
〜7%増と、 安定的に引き続き高い伸びを示すものとみられている。 

主要国別の全粉乳生産量(97年1〜3月)

 資料:ZMP
 (注)1 生産量は暫定値
    2 前年同期比は、閏年調整後の増減率

● 海外市場からの需要増が背景


 EUの全粉乳は、 他の乳製品と異なり、 全生産量の6〜7割を域外輸出向けが占
めるという際立った特徴を有していることから、 その生産状況は、 輸入国側の需
要動向に影響され易くなっている。 なお、 輸出先は、 アルジェリア、 エジプトな
どの北アフリカ諸国とブラジル、 ベネズエラなどの南米諸国が中心となっている。 

 EUの全粉乳生産が順調に増加している要因としては、 これらの輸出市場で需要
が増加していることに加えて、 南米で主要生産国であるアルゼンチンで、 干ばつ
の影響により生乳生産の停滞がみられることが挙げられる。 さらに、 海外市場で
EUの手強いライバルであるオセアニア諸国 (全粉乳の輸出でEUに次ぐシェアを占
める) は、 南半球に位置することから生産時期が頂度反対で、 かつ、 全粉乳は長
期保管に向かないため、 輸出市場で直接的な競合が起こらないことも要因の一つ
と考えられる。 


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