◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド農業省 (MAF) は、 このほど、 酪農経営(オーナー経営農場の み) の収益状況の見通しを発表した。 それによると、 96/97年度 (年度は5〜6月) の1経営体当たりの農業粗収入 は、 前年度を1.6%上回る23万7千NZドル (約1,789万円) になると見込まれてい る。 これは、 乳製品の国際価格の低下により基本乳価が10%ほど低下するものの、 生乳生産が増加する結果、生乳販売収入が21万7千NZドル(約1,637万円) と、前年 度を1.2%上回ることによるものである。 また、 副収入である家畜の販売収入も、 1万9千NZドル (約143万円) と前年度を6.4%上回ったことも寄与している。 一方、 これに対して、 総支出 (間接的経費を含まず) は、前年度を2.2%下回る 16万NZドル (約1,211万円) となった。 このことにより、農業粗収入から総支出を 差し引いた粗収益 (消費者物価指数調整後) は、 7万7千NZドル (約578万円)と、 前年度比8%の増加となることが見込まれている。
一方、 97/98年度の収益状況については、 1経営体当たりの農業粗収入が前年 度比2%減の23万NZドル、 また粗収益は同5%減の7万3千NZドルと、 いずれも 前年度をやや下回るものと予測されている。 これは、 チーズを除く乳製品の国際 価格が、 引き続き低水準で推移するとみられることに加えて、 NZドル高により輸 出が伸び悩むことから、 基本乳価が3.35NZドルと、 前年度を7%程度下回ること によるものである。 なお、 生乳生産は引き続き拡大するものの、 乳価の低下分を 埋め合わせることはできないとみられている。
ただし、 ここ4年ほどの期間でみると、 酪農家の粗収益は20〜30%増加してお り、 最近では、こうした状況を反映して酪農家が規模を拡大している。さらに、 そ れに止まらず、 収益の悪化に直面している羊、 肉牛経営が酪農に転換したり、 酪 農発展の余地がある南島で酪農場の開発が行われるなど、 生産基盤の拡大が進行 している。 それに伴って、 生乳生産量も増加傾向にあり、 MAFは、97/98年度には、 前年度を2%上回る史上最高の1,143万トンに達すると予測している。 酪農の1経営体当たりの収益状況 資料:MAF「Situation and Outlook for New Zealand Agriculture」 生乳生産量については「Statistics New Zealand」 注:雌牛頭数には、未経産牛を含む。経営動向調査の対象は、オーナー経営 農場のみ。 粗収益は消費者物価指数調整後。
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