米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○BFP算定基礎の変更


● 低下傾向が続くBFP


 米農務省 (USDA) は、 97年5月の最低飲用乳価保証制度 (ミルクマーケッティ
ングオーダー制度:MMO) の指標価格となる基本公式価格 (Basic Formula Price
:BFP) が、 100ポンド当たり10ドル70セントとなったことを発表した。 この価格
は、 前月の11ドル44セントと比べて6.5%の低下となっており、 BFPが高水準で推
移した昨年の同月と比べると3ドル7セントも下回っている。 

 BFPは、 95年5月から、それ以前の算定方式 (ミネソタ−ウィスコンシン価格を
指標とする) に替えて採用されたが、 それ以降、 95年末までは、100ポンド当たり
11ドルから12ドルで推移してきた。 しかし、 96年に入ってからは、 算出基礎とな
る乳製品価格が、 生乳生産の減少による原料乳の高騰により、 高値で推移したこ
とから上昇に転じた。 特に、チーズ価格が下期に入ってから高騰したことから、7
月に14ドルを超え、 9月には15ドル37セントと最高値を記録した。 その後、 チー
ズの価格が低下した11月からは、 11ドル台へ急落し、 以後も低下傾向が続いてい
る。 

 (注) MMOとBFP

 MMOは、 飲用規格生乳を対象とする生乳の価格支持制度であり、飲用規格生乳の
用途別最低取引価格を設定するとともに、 各オーダー地域 (32地域) ごとのプー
ル方式により生産者に乳代を支払うことが定められている。 

 この基礎となるクラス3 (バター、 脱脂粉乳、 チーズ等のハードタイプ乳製品
の原料となる) 生乳価格については、 95年5月から、 加工原料規格生乳を基にし
た価格であるBFPを指標として算出する方式に変更されており、毎月上旬に前月の
BFPがUSDAから発表されている。 

 なお、 この制度下で集乳される飲用規格生乳は、 全米生産量のおよそ7割とな
っている。 

● BFPに係る算定要素の一部変更


 BFPは、それが採用される前の指標価格であったミネソタ−ウィスコンシン価格 
(=加工原料向け生乳価格) を基礎に置いて、 バター、脱脂粉乳およびチーズの価
格動向を加味して調整したうえで算出される。 調整要素の一つであるチーズ価格
は、 全国チーズ取引所 (NCE) の取引価格が採用されていたが、 NCEが、 4月25日、 
過去40年間にわたるチーズ取引の歴史を閉じたことから、 USDAは、 6月5日、 全
国農業統計局 (NASS) 調査による40ポンド (約18kg) のブロック型チェダーチー
ズの全国平均価格を採用することとし、 5月分のBFPから適用することを決めた。 
従って、 5月のBFPは、 算定基礎の変更後初めて発表されたものであった。 なお、 
USDAは、 この変更により、 全国のバルク型チェダーチーズの約85%がカバーされ
ることから、 NCE価格採用時に、 関係者の間で懸念されていた、一部業者による価
格操作の疑義については払拭されるものと考えている。 

● 生産者販売価格も引き続いて低下


 97年6月の加工原料乳価格は、 100ポンド当たり10ドル90セントと、前年同月と
比べ19.9%下回った。 同価格は、 昨年9月に15ドル30セントと最高値を記録して
から、 9ヶ月の間に5ドル近くも低下したことになる。 

 このため、 97年6月の飲用向けを含む全生乳の生産者販売価格は、100ポンド当
たり12ドル60セントと、 前年同月と比べ14.9%下回った。 この価格は、 前月に比
べても3.1%下回っており、昨年9月に16ドル30セントの過去最高値を記録して以
来、 BFPと同様に、 価格の低下傾向が続いている。 

 しかし、 USDAは、 近年、 乳価に対する影響力を強めているチーズの在庫が、 今
後、 低水準になるとみられることから、 現在低迷しているチーズ価格が秋以降は
回復すると予想しており、 BFPも、 10月から12月にかけて100ポンド当たり13ドル
程度に上昇すると見込んでいる。 

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