輸出食肉検査料金値上げ案に業界猛反発 (豪州)



● 輸出食肉検査料金を13%程度値上げ

 豪州連邦政府は、 6月17日、 検疫検査局 (AQIS) が所管している輸出向け食肉 検査関連の料金の引き上げ計画を発表した。 各料金の具体的な引き上げ額はまだ 示されていないが、 全体として現行より13%程度の上昇になると見込まれている。  この提案は、 ハワード政権下で実施されている公共サービスの受益者負担の原 則に沿ったもので、 これまで連邦政府がAQISの運営経費として支出していた予算 のうち、 輸出食肉検査に関連する1千450万豪ドル (約12億円)を削減するという 基本方針が示されている。 削減分については、 輸出認定手数料や検査料などを引 き上げるとし、 受益者であるパッカーや食肉加工業者に負担を求めている。

● 食肉業界から非難の声

 政府発表以来、 食肉業界は、 生産者、 パッカーを問わず業界を挙げて、 強い反 対姿勢を示している。 豪州肉牛生産者協議会などは、 輸出市場において、 米国産 との厳しい価格競争にさらされている豪州産牛肉にさらにハンデを課すことにな り、 ここ20年にない価格低迷に苦しむ生産現場を無視したものと、 政府案を強く 非難している。  こうした食肉業界の反発に対して、 アンダーソン第一次産業相は、 24日、 先に 発表された次年度 (97/98) 連邦予算案に盛り込まれたAQISの機構改革が順次実 施されることにより、 今後、 輸出食肉検査に係る業界負担は、 逆に低減されると する談話を急遽発表した。 また、 受益者負担の原則は、 すべての業界で実施され ているが、 食肉関連では最近の食肉不況を十分考慮した上で、 これまで実施を遅 らせてきたとして、 業界に理解を求めている。

● 最終決定までは難航か

 アンダーソン大臣は、 今後、 第一次産業省と財務省との協議に食肉業界代表の 要望も取り入れ、 料金引き上げの影響を最小限に留めたいとしている。  しかしながら、 先の食肉団体の再編案で、 畜種別団体の設立という業界の意見 が、 大臣の最終判断で取り上げられなかったことに加え、 AQISの改革実行より今 回の料金引き上げ計画が先に発表されたことで、 食肉業界の政府への不信感は一 気に高まったと考えられる。 したがって、 業界の反発は強く、 最終決定までには、 難航することが予想される。
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