CRPに係る契約承認面積を発表 (米国)




● 契約面積は、 全体で2,760万エーカー

 米農務省 (USDA) は、 3月末までに行われた土壌保全留保計画 (CRP)に係る契
約申し込みに関して、 1,610万エーカー (約650万ha) の農地を承認すると発表し
た。 

 これによると、 現契約面積のうち、今年9月30日で期限切れになる2,120万エー
カー (約860万ha) については、 契約更新を辞退した320万エーカー (約130万ha) 
を含めて、 950万エーカー (約390万ha) の農地が再契約されなかったことになる。 

 なお、 今回承認分に既契約面積で9月以降も契約が継続するものを加えた、 97
年10月のCRP契約面積は、 合計で2,760万エーカー (約1,120万ha) となり、これま
でに比べ、 契約面積が530万エーカー (約210万ha) 減少することとなった。 

(申込面積と承認面積)


● 土壌保全を図る目的のCRP

 CRPは、 85年農業法で初めて導入され、 その後、 90年農業法、96年農業法におい
ても継承されてきた。 この事業は、 土壌の保全を図るため、 土壌浸食を起こしや
すい農地や、 環境的にぜい弱な農地を対象に、 農地の所有者が長期的な土壌保全
利用 (永久的な土壌被覆作物・樹木の植え付けなど) を行う場合に、 政府が、 10
〜15年間の借地料の支払い (契約地を所有者から借りる形式をとる) や土壌保全
経費の一部の助成を行うというものである。 

● 新規契約の借地料は11ドル引き下げ

 借地料に関しては、 これまでは1エーカー当たり50ドル(約1万4千円/ha)で
あったのに対して、 今回契約分から39ドル (約1万1千円/ha) と前回より21%
引き下げられることになった。 その結果、 これまでに比べ、 全契約期間を通して
の補助金が、 総額で160億ドル (1兆8千億円) 節約されることになる。 

● 対象農地の地域配分に大きな変化なし

 このほか、 対象農地の選定基準が改定されたことなどから、 関係者の間で関心
の寄せられていたグレートプレーンズから東部地域への対象農地の地域配分の移
動については、 結果的には大きな変化が生じなかったばかりか、 逆に、 畜産が主
力のグレートプレーンズのシェアが若干高まった。 

 なお、 グレートプレーンズ諸州のシェアは、 これまでの42%から45%へと増加
したのに対して、 北東部、 アパラチア、 南東部およびミシシッピデルタ地域のシ
ェアは12%から11%へと減少した。 

● 生産調整機能から本来の土壌保全の目的へ

 これまで穀物の生産調整的要素の強かったCRPについて、グリックマン農務長官
は、 「もはや穀物生産の制限手段に用いるつもりはない」 と名言し、96年農業法で
採り入れられた、 市場志向型の穀物需給政策について、 その中長期的な運営に強
い自信を示している。 

 なお、 CRPの上限契約面積は3,640万エーカー (約1,470万ha) であることから、 
USDAでは、 今年の秋に次回の契約申し込みを受け付けるとしている。 


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