タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○タイの鶏肉需給動向


● 引き続き拡大する国内生産

 タイ農業協同組合省が公表した統計によると、 7月のブロイラーの生産量は、 
今年に入ってから輸出が好調であることなどを背景に、 対前年同月比26.1%
増の72.2百万羽と引き続き大幅な増加となった。 前月に70百万羽を超えた
生産量は、 引き続き、 前年同月比で20%を超える大幅な増加傾向で推移してい
る。 また、 ひなのふ化羽数は、 前年同月比26. 8%増の75. 6百万羽とな
った。 ひなのふ化羽数が96年6月に前年比100%を超えて以来、 連続して前
年を上回っている。 このため、 今後の生産量は、 引き続き増加が見込まれている。 
しかし、 秋以降は、 バーツ下落に伴う経済混乱の影響もあって、 予断を許さない
状況となっている。 


● タイ政府、 97年のトウモロコシの生産予測を発表

 こうした中、 現地報道によると、 タイ政府は97年のトウモロコシの生産予測
を発表した。 これによると、 97年のトウモロコシの作付け面積は879万ライ 
(1ライ=約20アール) で、 対前年比1. 43%の増加となったが、 生産量は、 
1ライ当たりの収穫量が507kgから467kgに低下したため、 結果として対前
年比6.6%減の410万トンになると予測されている。 これは、 成長期の初め
の段階における干ばつの影響によるもので、 地域によってはまったく収穫できな
かった所もあるようである。 

 98年のトウモロコシの需要量は、 480万トン程度と予測されており、 来年
においても70万トン程度の輸入が必要と見込まれていることから、 養鶏農家に
とっては、 バーツ安による輸入飼料の上昇から来る生産コストの上昇は、 避けら
れない状況となっている。 


● 需要対策として輸出の拡大を図る

 また、 先般、 同国政府は、 今後の飼料政策及び最近の動向として以下のコメン
トを発表した。 
 
(1) 飼料の買い付け政策

 これまで、 飼料輸入の許可に長時間かかり、 注文や買い付けまでに十分な時間
がなかったことを踏まえ、 飼料の輸入許可の公表は、 より良い条件での輸入を可
能にするため、 飼料輸入業者に対して早い時期に行うこと。 

 (2) バーツ下落の問題

 タイバーツの下落は、 飼料等の輸入価格を上昇させるが、 逆に輸出拡大のチャ
ンスでもあり、 あまり大きな問題ではないこと。 

 (3) 国内消費減少の影響

 畜産物の価格の上昇により国内消費が低下している問題については、 鶏肉調整
品等の輸出の振興により、 全体の需要量の減少を食い止めること。 

 (4) 今後の飼料価格の動向

 今後の飼料価格の動向については、 現在、 主要生産地帯の収穫が始まったばか
りで予測は困難であり、 世界市場の動向と国内の需給動向にもよるが、 現在昨年
に比べ高値で推移しているトウモロコシの価格も、 今期の収穫が終われば現在よ
り低下すると予測していること。 

 (5) 98年の飼料の需要動向

 タイは、 98年において大豆ミール約100万トン及びトウモロコシ約440
万トンの需要が見込まれており、 飼料コストの上昇が年明け早々にも見られると
予想していること。 



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