豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○バター等の輸出が大幅に増加


● 前年同期比65%の増加

 政府の輸出統計によると、 96年度 (96年7月/97年6月) のバターなど
の乳脂肪製品 (無水バター、 ギー等を含む) の輸出数量は、 約9万9千トンに達
し、 前年度同期比で65%と、 大幅な増加となった。 

 輸出量が大幅に増加した背景には、 その国際価格が低下したことにより輸入需
要が増加したことが挙げられる。 ちなみに、 96年 (歴年) に入ってからのバタ
ーの国際価格は、 ロシアやアジアの輸入拡大で急騰した前年から一転して大幅に
低下し、 96年度の12カ月間の平均価格は、 前年同期比で約26%安の1,7
71米ドル/トンとなった。 

 また、 中・長期的には、 従来、 乳脂肪製品の中心的な輸出地域であったEUから
は、 ガット・ウルグアイラウンド合意に基づく輸出補助金額の削減や生産のチー
ズ・デザート類などへのシフト傾向などにより輸出量が増えないとみられる中で、 
それに取って代わって、 豪州やニュージーランドなどの競争力の強い国が次第に
輸出シェアを拡大すると予想される。 


● バターの輸出先はエジプトが最大

 次に、96年度のバターの輸出動向を相手国別にみると、 前年度に比べ急増(約
2倍) したエジプトが第1位となり、 16%のシェアを占めた。 以下、 需要が増
えているにもかかわらず国内生産が減っているロシアが9%、 南アフリカが8%、 
かつて第1位の座を占めたシンガポールとアラブ首長国連邦がともに7%、 ベル
ギーが6%、 香港が5%と続いている。 

◇図1:バターの国別輸出割合◇


● 無水バター、 ギーなどの輸出はタイが最大

 一方、 無水バター、 ギーなど、 バター以外の乳脂肪製品の輸出を相手国別の割
合でみると、 伝統的に東南アジア地域が中心となっている。 国別では、 タイが2
0%で最大となっており、 続いてメキシコが13%、 フィリピンが10%、 イン
ドネシアが9%、 シンガポールが8%、 マレーシアが7%と続いている。 なお、 
それらの上位国では、 豪州からの乳脂肪製品輸入量に占めるこれらの品目のシェ
アが高いのが特徴で、 タイ・メキシコ・フィリピンでは9割以上を占めており、 
低位のシンガポールでも約5割を占めている。 

◇図2:無水バター・ギー等の国別輸出割合◇



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