◇絵でみる需給動向◇
米農務省全国農業統計局 (USDA・NASS) の報告によると、 97年1〜9月期の 全米の生乳生産量は、 前年同期比1. 9%増の5, 377万7千トンとなった。 97年第1四半期は、 カリフォルニア州等の生乳生産地帯における天候不順の影 響から前年比で0.3%減少したものの、 第2および第3四半期になって、 天候 が回復し、 また、 1頭当たりの乳量が前年比で3. 8%、 4. 5%とそれぞれ 増加したことが要因となって、 第3四半期までの通期では、 前年を上回った。 ◇図:全米生乳生産量(四半期別)◇
一方、 97年1〜9月期の乳製品の生産量は、 脱脂粉乳が43万6千トン、 バ ターが39万5千トン、 チーズ (カッテージチーズを除く) が249万8千トン、 全脂粉乳が4万1千トンとなった。 これらの値を前年同期と比べると、 脱脂粉乳が17.4% (実数で6万5千ト ン) と大幅に増加、 また、 チーズが2.2% (同5万5千トン) とわずかに増加 している。 これに対して、 バターは生産が回復して前年とほぼ同水準となり、 ま た、 そして全粉乳は、 前年比で12. 8% (同6千トン) 減少している。 脱脂粉乳生産の増加とバター生産の回復の背景としては、 チーズ価格が在庫過 剰により昨年末から急落したため、 乳業メーカーが生乳のチーズ仕向けを抑制し つつ、 全粉乳に比べて保存性が高く、 かつ、 チーズ原料として使用できる脱脂粉 乳の生産への仕向け量を増やしたことが考えられる。
チーズの価格動向を指標となるチェダーチーズの価格 (40ポンドブロック、 ウィスコンシン地区) についてみると、 96年には前年の価格水準を大きく上回 って、 高値で推移したが、 生産急増により在庫過剰となったことから、 同年11 月から直近の今年10月にかけて、 前年同月を大きく下回って推移した。 その月 別の動向についてみると、 97年5月には、 この数年間で最安値の116.5セ ント/ポンドとなったが、 その後は在庫調整に伴って、 価格が次第に回復し、 1 0月には昨年の平均価格に迫る142.4セント/ポンドになった。 しかしなが ら、 長期的スパンでみれば、 依然として在庫水準が高く、 かつ、 外食産業等の需 要増加は難しいことなどから、 昨年のような大幅な価格の上昇は見込めそうにな いと関係者は分析している。
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