台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○最近の肉豚生産構造


● 養豚農家戸数が大幅に減少

 台湾省政府農林庁が先ごろ発表した97年7月末センサス (台湾地区養豚頭数
調査報告) によれば、 養豚農家戸数は2万2千戸で、 前回センサス (96年11
月末) と比較すると、 13.7%と大幅に減少した。 前回調査時の対前々回減少
幅が3.6%であったことからみると、 今年3月に発生した口蹄疫の打撃がいか
に大きなものであったかが窺える。 なお、 1戸当たりの平均飼養頭数は390頭
で前回の調査時より32頭減少 (−7. 6%) した。 

 これを飼養規模別にみると、 飼養頭数99頭以下の小規模農家が1万1千戸で
全体の49. 8%と最も多く、 100〜1, 000頭未満の中規模農家が9千
戸で41. 3%とこれに続いている。 また、 1, 000頭以上の大規模農家が
2千戸で8. 9%となっている。 

 飼養規模別に農家戸数の変化 (減少) をみると、 99頭以下のクラスの減少率
が9%と小さかったのに対して、 100頭以上のクラスの減少率は18%と2倍
になっている。 従って、 口蹄疫問題に関しては、 飼養規模が大きい専業農家ほど、 
その影響を大きく受けたということができる。 これに対して、 減少率が小さかっ
た小規模農家には、 養豚を専業にしていないケースが多いため、 経営全体として
は、 口蹄疫の影響があまり大きく及ばなかったものと考えられる。 


● 農家は飼養規模の維持を希望

 また、 今後の経営規模に関する意向調査では、 1万1千戸に上るサンプル農家
のうち、 78%が現状の飼養規模の維持を希望しており、 さらに、 8%が飼養頭
数の増加を希望していることが示された。 これに対して、 飼養規模の縮小を考え
ている農家は14%に過ぎず、 養豚業を取り巻く環境が厳しさを極めた状況下に
おいても、 大多数の養豚農家が経営規模を維持し、 状況が落ち着いた後に備える
体制の維持を望んでいることが明らかとなった。 

規模別養豚農家戸数

 資料:台湾省政府農林庁「台湾地区養豚頭数調査報告」
 ( )内は対前回比:%


● 養豚継続には環境保全がカギ

 口蹄疫問題のほかには、 台湾では、 近年、 養豚が引き起こす環境汚染問題が深
刻化していたが、 養豚業継続のためには、 今後、 環境保全を念頭に置いた養豚経
営が不可欠と考えられている。 このような中、 台湾省政府環境保護局は、 来年早
々、 汚染処理施設の設置を義務づける対象を、 これまでの飼養規模200頭以上
から20頭以上に引き下げることを決めた。 これによれば、 ほぼすべての養豚農
家に汚染処理施設の設置が義務づけられることになる。 農業委員会 (農業省に相
当) は、 小規模養豚農家による新たな汚染処理施設の設置を支援するため、 その
設備経費に係る長期低利融資措置 (利率:4.5%、 貸与期間:最長で8年) を
実施することになった。 

 このほか、 農民が組織する農会 (農協に類似の組織) は、 畜産試験場や大学、 
環境保護関係の技術団体を通じて技術面での指導を行うと共に、 排水処理設備の
施工ハンドブックを提供するなどの協力をしていくとしている。 



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